山下久夫

山下久夫：日本の古典文学研究を牽引する国文学者

山下久夫氏は、1948年生まれの日本の国文学者です。金沢学院大学名誉教授として、長年にわたり日本文学、特に日本思想史の研究に尽力されました。その専門的な知識と深い洞察力は、日本の古典文学研究に多大なる貢献を果たしています。

鹿児島県で生まれた山下氏は、立命館大学文学部日本文学科を卒業後、同大学大学院文学研究科博士課程に進学。単位取得後退学し、金沢学院大学文学部にて助教授、教授として教鞭を執りました。2005年には、「秋成の『古代』」という論文で立命館大学より文学博士の学位を取得。これは、その研究の深さと独創性を示す重要な成果と言えるでしょう。2014年には定年退任、名誉教授となりましたが、その後も精力的に研究活動を継続されています。

山下氏の研究は、本居宣長や古代文学を中心として展開されています。特に、本居宣長に関する研究は高く評価されており、その業績は数々の著書や論文に結実しています。代表的な著書としては、『本居宣長と「自然」』（沖積舎、1988年）、『秋成の「古代」』（森話社、2004年）、『本居宣長』（笠間書院、2012年）などが挙げられます。これらの著作においては、従来の見解にとらわれず、独自の視点から本居宣長の思想や作品を深く掘り下げ、新たな解釈を提示することで知られています。

また、山下氏は共編著も多く手がけています。例えば、『越境する古事記伝』（斎藤英喜氏共編、森話社、2012年）、『文学研究の思想：儒学、神道そして国学』（田尻祐一郎氏ら共著、東海大学出版部、2014年）、『江戸の学問と文藝世界』（鈴木健一氏ら共編、森話社、2018年）、『日本書紀一三〇〇年史を問う』（斎藤英喜氏共編、思文閣出版、2020年）、『平田篤胤：狂信から共振へ』（斎藤英喜氏共編、法藏館、2023年）などがあります。これらの共著を通して、多様な視点を取り入れながら、日本の古典文学や思想史に関する研究を深めてきました。さらに、Ciniiなどのデータベースにも多数の論文が掲載されており、その研究活動の幅広さが伺えます。

山下久夫氏の研究は、日本の古典文学研究に新たな地平を開くものとして高く評価されています。その深い知識、鋭い分析力、そして独創的な視点から生み出される成果は、今後も日本の国文学研究に大きな影響を与え続けるでしょう。その研究は、単なる学問にとどまらず、現代社会における人間のあり方や歴史への理解を深める上で重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

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