山内功一郎

山内 功一郎

山内 功一郎（やまうち こういちろう）は、1969年に生まれた日本のアメリカ文学研究者です。現代アメリカ合衆国の詩を専門分野とし、現在は早稲田大学文学学術院文学部で教鞭を執っています。詩人マイケル・パーマーをはじめとする現代詩の研究で学界に貢献しており、その功績に対し鮎川信夫賞が贈られました。

経歴

山内功一郎氏は、1992年に獨協大学外国語学部英語学科を卒業後、研究の道を志し、明治学院大学大学院文学研究科へ進みました。1994年には同大学院の博士前期課程英文学専攻を修了し、修士（英文学）の学位を取得。さらに博士後期課程に進み、1998年に単位を取得して退学しています。

研究者としてのキャリアは、1999年に静岡大学人文学部専任講師に着任したことから始まりました。その後、順調に昇任し、2002年には同人文学部助教授、2007年には人文社会科学部准教授となり、教育と研究の両面で活動を展開します。この間、2005年にはアメリカ合衆国に渡り、カリフォルニア大学バークレー校にて客員研究員として研鑽を積みました。海外での滞在は、その後の研究に大きな影響を与えたと考えられます。

静岡大学人文社会科学部では、2016年に教授へと昇格しました。同年に、長年の研究成果を集大成した主著『マイケル・パーマー―オルタナティヴなヴィジョンを求めて』（思潮社、2015年）が刊行され、この著作によって第26回鮎川信夫賞を受賞するという栄誉に浴しています。この受賞は、現代アメリカ詩、特にマイケル・パーマー研究における山内氏の貢献が広く認められたことを示しています。

2020年、山内氏は教育・研究の場を早稲田大学に移し、文学学術院文学部教授に就任しました。現在も早稲田大学を拠点に、アメリカ文学、特に現代詩の研究と後進の指導にあたっています。学会活動にも積極的に関わっており、2007年には日本エズラ・パウンド協会の理事に就任。また、2021年からは日本英文学会の編集委員も務めています。

主な業績

山内功一郎氏の主要な研究対象は、アメリカの現代詩、とりわけ詩人マイケル・パーマーです。パーマーの作品に深く分け入り、そのオルタナティヴなヴィジョンを読み解く試みは、前述の鮎川信夫賞受賞作『マイケル・パーマー―オルタナティヴなヴィジョンを求めて』に結実しました。同書は、パーマーの難解とされる詩の世界を多角的に分析し、新たな光を当てた研究書として高く評価されています。

また、2017年には『沈黙と沈黙のあいだ―ジェス、パーマーとペトリンの世界へ』（思潮社）を刊行しており、引き続きパーマーを含む現代詩の世界を探求しています。研究活動と並行して、詩作品の翻訳も手がけており、2004年には『粒子の薔薇―マイケル・パーマー詩集』（思潮社）として、研究対象であるマイケル・パーマーの詩を紹介しています。翻訳者としても、日本の読者に現代アメリカ詩の豊かな世界を伝える役割を果たしています。

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