山内豊清

山内豊清は、延宝5年（1677年）に生まれ、宝暦6年8月3日（1756年8月28日）に没した江戸幕府の旗本です。

彼は、土佐中村藩の3代藩主であった山内豊明の三男として生まれましたが、本藩分家筋の旗本である山内之豊の養子となりました。正室には、池田政言の娘を迎えています。豊清には、山内豊救（長男）、青木直旧室（長女）、伝三郎（次男）、千代之助（三男）のほか、3人の女子がいました。通称は主膳、または大次郎と称しました。

元禄4年（1691年）に養父である之豊の跡を継ぎ、旗本となりました。元禄10年（1697年）には、上総国で3000石を与えられ、その後、常陸国へと移されました。宝暦6年（1756年）に亡くなると、兄の山内豊成の四男であり、養子となっていた豊産が家督を相続しました。豊清の法名は道毅で、墓所は東京都港区にある曹渓寺にあります。

ここで、山内豊清に関する興味深い逸話があります。大正7年（1918年）に青木義正が『土佐史壇』で発表した内容によると、赤穂浪士の一人である寺坂信行が晩年に曹渓寺で寺男として働いていた際、その縁で豊清に仕えるようになり、武士の身分を得たというのです。しかし、この記述には、寺坂信行が仕えていた際の山内豊清の通称が「主膳」ではなく「摂津」とされていたり、時系列に矛盾点があるなど、信憑性について多くの異論が出ています。このため、寺坂信行が本当に山内豊清に仕えていたかどうかについては、現在も議論がなされています。

山内豊清は、旗本として江戸幕府に仕え、領地を治める一方で、赤穂浪士との意外な接点を示唆する逸話が残る人物として、歴史に名を刻んでいます。

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