山内之豊

山内之豊（やまうち ゆきとよ）は、寛永14年（1637年）に生まれ、元禄4年4月29日（1691年5月26日）に没した、江戸幕府の旗本です。麻布山内家の二代目当主であり、土佐藩主・山内忠義の五男として生を受けました。幼名は梅助、通称は源左衛門、式部と称し、初めは安豊と名乗っていました。

之豊には、兄に土佐藩主となった山内忠義、山内忠豊、そして山内一安がいました。しかし、兄の一安が万治3年（1660年）に25歳という若さで亡くなったため、之豊がその家督を継ぐことになり、寄合に列しました。寄合とは、江戸幕府における役職の一つで、幕府の要職に就くための足掛かりとなる重要な役職でした。このことから、之豊は幕府において一定の地位を築いていたことが伺えます。

之豊の家族構成としては、実子に豊則、豊房がおり、娘は大森頼隆と石河貞名に嫁いでいます。また、山内豊明の子である豊清を養子として迎え、さらに根来正国にも娘を嫁がせています。このように、之豊は自身の家を盤石なものとするために、婚姻関係を重視したことが窺えます。

之豊は元禄4年（1691年）に亡くなり、その家督は養子の豊清が継承しました。法名は道徹といい、墓所は東京都港区にある曹渓寺にあります。曹渓寺は、山内家と縁の深い寺院であり、之豊の菩提を弔う場所として選ばれました。

山内之豊は、土佐藩主の血筋を受け継ぎながら、江戸幕府の旗本として生涯を過ごしました。兄の死という悲劇に見舞われながらも、家督を継承し、その家を維持・発展させた手腕は特筆に値します。彼の生涯は、江戸時代の武士の生き方の一つの例として、私たちに様々な示唆を与えてくれます。

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