山口亮一

山口亮一：佐賀が生んだ洋画家

山口亮一（1880年-1967年）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の洋画家です。佐賀県佐賀市に生まれ、東京美術学校（現・東京芸術大学）を卒業後、故郷佐賀に戻り、その地で画家としての道を歩み続けました。

名家の生まれから画家の道へ

鍋島藩の名家、中野家に生まれた山口亮一。幼名は辰三でした。実父は銀行頭取を務めた中野致明という人物でした。1886年、蘭学医であった山口亮橘の養子となり、亮一と改名します。この養子縁組が、彼の生涯に大きな影響を与えたことは想像に難くありません。

その後、山口亮一は洋画の道へと進みます。1903年には、黒田清輝が中心人物であった白馬会に入会。本格的に洋画の研鑽を積むことになります。そして1906年には、東京美術学校西洋画科に入学。当時の日本を代表する美術教育機関で、画業の基礎を築き上げました。

故郷佐賀での活躍

1910年、第4回文展で初入選を果たした山口亮一は、同年、山口スガと結婚。そして翌1911年、東京美術学校を卒業すると、故郷佐賀へ戻ります。その後は、生涯佐賀を拠点に制作活動を行い、後進の指導にも力を注ぎました。

彼の故郷での活動は、佐賀の美術界に大きな足跡を残しました。1913年には、久米桂一郎、岡田三郎助、北島浅一、御厨純一らとともに佐賀美術協会を創設。同協会の会長に就任し、発展に尽力しました。さらに、佐賀県師範学校で23年間もの長きに渡り美術教諭を務め、多くの生徒たちに指導を行い、美術教育にも大きく貢献しました。

帝展入選と評価

山口亮一の画力は高く評価され、帝展（帝国美術展覧会）でも成功を収めました。1920年には第2回帝展に入選し、『燈下の静物』が宮内省によって買い上げられるという栄誉に輝きます。さらに1922年には、帝展で無鑑査作家となるなど、当時の日本画壇における彼の地位の高さがうかがえます。

戦後も精力的に活動した山口亮一は、1946年には佐賀美術工芸研究所を開設し、陶磁器美術の指導にあたりました。多様な分野で活躍し、美術界全体の発展に貢献しました。

受賞と晩年

1966年には勲四等瑞宝章を受賞。その功績が国家レベルで認められたことを示しています。そして1967年、87歳で生涯を閉じました。

山口亮一は、名家の生まれから洋画の道へ進み、故郷佐賀で画家として、教育者として、そして美術団体設立者として、多方面で活躍しました。彼の作品や活動は、日本の近代洋画史、そして佐賀の美術史において重要な位置を占めています。彼の功績は、これからも多くの人々に語り継がれていくことでしょう。

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