山口明穂

山口明穂：日本の国語学を牽引した研究者

山口明穂(やまぐち あきほ)は、1935年6月16日、神奈川県横浜市に生まれ、2018年8月27日、肺炎のため83歳で逝去した日本の国語学者です。東京大学文学部教授を歴任し、同大学名誉教授の称号も得ています。

山口は、幼少期を横浜で過ごし、精華小学校、横浜国立大学附属中学校、東京都立日比谷高校と進学しました。1959年に東京大学文学部国文学科を卒業後、同大学大学院に進み、1963年に人文科学研究科国語国文学専修博士課程を中退しました。

その後、愛知教育大学専任講師、白百合女子大学助教授を経て、1977年に東京大学文学部助教授に就任。1985年には教授に昇進しました。1996年に東京大学を定年退官し名誉教授となりましたが、その後の研究活動は留まることなく、中央大学文学部教授として教鞭をとり続け、2006年に定年退職しています。

山口の研究分野は主に中世国語です。特に、文語の研究は高く評価され、その成果は多くの論文や著書に結実しました。その研究は、単なる古語の解明にとどまらず、現代の日本語理解にも繋がる重要な知見を提供しています。歴史的な視点から、日本語の論理や言葉の機構、変遷を多角的に分析し、日本の言語文化への深い理解を示しました。

主な著書として、『中世国語における文語の研究』、『国語の論理 古代語から近代語へ』、『日本語を考える 移りかわる言葉の機構』、『日本語の論理 言葉に現れる思想』などがあります。これらは、いずれも日本語学の分野において重要な著作とされており、現在でも多くの研究者や学生によって参照されています。

さらに、山口は旺文社や岩波書店など、多くの出版社との共編著も多く手がけています。代表的なものとしては、『旺文社詳解国語辞典』、『岩波漢語辞典』、『岩波新漢語辞典』、『旺文社国語辞典』、『日本語文法大辞典』などがあります。これらの辞典は、高い信頼性と分かりやすさで広く一般に親しまれ、国語教育に多大な貢献を果たしました。

古典の校註にも携わり、『鎌倉右大臣家集 源実朝』、『明恵上人集』、『六百番歌合』、『平家物語 現代語訳』などの作品を世に送り出しました。これらの古典作品は、現代の読者にとってより身近なものとなり、日本の古典文学の理解を深める上で大きな役割を果たしています。

山口明穂の業績は、国語学のみならず、日本の言語文化全体に大きな影響を与えました。その研究成果は、後進の研究者や教育者たちに引き継がれ、現在も日本の国語学の発展に貢献し続けています。彼の残した膨大な著作は、未来の研究者にとって貴重な財産となるでしょう。

山口の没後、叙従四位瑞宝中綬章が追贈されました。これは、彼の学問への貢献と教育への尽力が高く評価された証です。彼の功績は、これからも日本の言語文化の研究と教育において長く記憶されることでしょう。

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