山口桂三郎

山口桂三郎：日本の浮世絵研究を牽引した美術史家

山口桂三郎氏(1928年11月3日-2012年1月17日)は、日本の美術史、とりわけ浮世絵研究において卓越した功績を残した著名な学者です。明治大学大学院博士課程を中退後、立正大学教授として教鞭をとり、2004年には「浮世絵における美人・役者絵の史的研究」で立正大学文学博士号を取得しました。2012年1月17日、心不全のため83歳で永眠されました。

浮世絵研究への多大な貢献

山口氏の研究活動は、浮世絵の美人画や役者絵に焦点を当てた深い洞察に裏打ちされていました。単なる図像分析にとどまらず、それぞれの作品が制作された歴史的・社会的な背景を丁寧に解明することで、浮世絵という芸術形式を多角的に理解するための基盤を築きました。その知見は、数々の著作や論文を通して広く学界に共有され、日本の浮世絵研究に大きな影響を与えました。

学術団体におけるリーダーシップ

山口氏は、学術団体における活動も活発に行っていました。日本浮世絵協会の設立に尽力し、理事長を務めた後、国際浮世絵学会会長として国際的な交流にも貢献しました。また、櫛形町立春仙美術館（現・南アルプス市立春仙美術館）館長として、美術品の保存・管理、そして地域社会への美術普及にも尽力しました。これらの活動を通して、日本の美術文化の発展に大きく貢献しました。

主要な著作

山口氏は、浮世絵に関する多くの著作を発表しました。代表的な著書として、『広重』『浮世絵概論』『西洋美術史』『浮世絵の歴史 美人絵・役者絵の世界』などがあります。これらの著作は、いずれも浮世絵研究において重要な参考文献として高く評価されており、専門家のみならず、一般の愛好家にも広く親しまれています。

さらに、共編著として『浮世絵名作選集』『写楽新研究』『浮世絵大系』『浮世絵聚花』『原色浮世絵大百科事典』『資料と図録による日本絵画史』『浮世絵八華』『絵画』『浮世絵』『名品揃物浮世絵』『写楽の全貌』『浮世絵の現在』『東洲斎写楽』など、多数の書籍を世に送り出しました。これらは、浮世絵研究の幅広い分野を網羅しており、その多様性と深さがうかがえます。

没後への影響

山口氏の死は、日本の美術界に大きな損失をもたらしました。しかし、氏の残した膨大な研究成果は、これからも多くの研究者や愛好家によって継承され、発展していくことでしょう。氏の功績は、日本の美術史研究、そして浮世絵という芸術形式の理解を深める上で、これからも重要な役割を果たし続けるに違いありません。

まとめ

山口桂三郎氏は、類まれな知性と情熱をもって日本の美術史研究、特に浮世絵研究に貢献した偉大な学者でした。数々の著作や学術活動を通して、日本の美術文化の発展に多大な貢献を果たし、後世に大きな足跡を残しました。その業績は、今後も美術史研究において高く評価され続けるでしょう。また、彼の息子である山口桂氏は、クリスティーズ・ジャパン代表取締役社長として活躍しており、親子二代に渡り美術界に貢献していると言えるでしょう。

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