山口武平

山口 武平（やまぐち ぶへい）

日本の政治家。1921年（大正10年）5月19日に茨城県猿島郡神大実村（現在の坂東市）で誕生。茨城県立水海道中学校を経て、秋田鉱山専門学校で学んだ。

神大実村の助役を務めた後、1955年に茨城県議会議員選挙で初当選を果たした。この時の同期当選者には、後に内閣官房長官などを務める梶山静六がおり、両者は国政と県政の立場は違えど、生涯にわたる盟友関係を築いた。県議として活動する中、1966年には茨城県議会議長選出に関連する「茨城県議会黒い霧事件」に巻き込まれ起訴された。最高裁判所まで争うことになったが、最終的に1989年1月、懲役8月執行猶予3年、追徴金20万円の有罪判決が確定している。

また、国政選挙への関与もあった。1972年には、死去した先代の中村喜四郎の跡を継ぐ参議院議員補欠選挙に、自由民主党公認候補として出馬したが、中村氏の有力後援会「喜友会」からの反発を受け、無所属で立候補した中村氏の未亡人・登美氏に敗れるという苦杯を嘗めた。その後、1971年の岩井市制施行に伴う県議補欠選挙で議席に返り咲いたものの、二代目の中村喜四郎氏との間には長らく複雑な対立関係が続いた。

県議会では、2度にわたり議長を務めている（第64代、第97代）。特に2006年には、85歳で第97代議長に就任。また、地方自治体の代表として、政府が進めた「三位一体の改革」に関する交渉役を担うため、全国都道府県議会議長会で第60代会長にも就任しており、これは同会史上最高齢での会長就任記録となった。2005年には、茨城県議会議員として50年の永年在職表彰を受け、2006年の県議選では無投票で14選を果たし、当時の全国記録に並んだ。

自由民主党茨城県支部連合会においては、1974年に幹事長に就任して以来、長年にわたり組織を主導。1987年からは会長として県連を率い、その影響力は県政の枠を超え、国政にまで及んだ。「全国の県議の中で一番中央に顔が利く」と評され、自身の選挙には平沼赳夫や麻生太郎といった有力国会議員が応援に駆けつけ、小泉純一郎内閣総理大臣が北朝鮮を訪問する前夜には直接電話で会談するなど、中央政界との緊密な関係が知られた。陳情に訪れた際には、国会議員よりも上座に座ることもあったと言われており、その影響力の大きさを象徴するエピソードとして語られている。

長らく続いた強固な「山口体制」は、2009年8月の茨城県知事選挙で自民党推薦候補が敗北し、同日行われた総選挙でも自民党が全国的に惨敗した責任を取り、同年9月に県連会長を辞任したことで終焉を迎えた。その後、県連最高顧問に就任。そして、2010年10月、同年12月の県議会議員選挙に立候補せず、政界からの引退を表明した。県議引退後も県連最高顧問として政治活動を継続し、90歳を超えてもなお、各種選挙の応援などでその姿が見られた。

2018年7月27日に97歳で死去。その死没日をもって、正五位に叙せられた。

政治活動以外では、母校である茨城県立水海道第一高等学校の同窓会「済美同窓会」の第4代会長を長期間務めた。また、2006年には『山口武平伝刊行会』からの寄付を原資として、同校に「山口奨学基金」という奨学金制度が設立され、後進の育成にも力を注いだ。

著書に『山口武平伝』（茨城新聞社、2005年）がある。

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