山名勝豊

山名勝豊（やまな かつとよ）は、室町時代に活躍した武将であり、山名氏の一族である因幡山名氏の当主でした。山名宗全の三男として生まれ、山名熙貴の養子となったと伝えられています（ただし異説も存在します）。その名にある「勝」の字は、室町幕府七代将軍である足利義勝から一字拝領したものと考えられています。

勝豊の時代に、因幡山名氏は本拠地を二上山城から布勢天神山城へと移しました。この天神山城は勝豊が築城したとされていますが、伝えられる築城年と勝豊の没年に矛盾があるという指摘も存在します。しかし、この城はその後百年間にわたり、因幡山名氏の居城として重要な役割を果たしました。

しかしながら、勝豊の実際の業績や活動については、一次史料など確実な史料での裏付けが乏しく、その生涯は謎に包まれています。文安元年（1444年）12月頃までは山名熙高が守護職を務めていたことが明らかになっており、勝豊がいつ因幡山名氏の当主となったのかも定かではありません。

『師郷記』によれば、勝豊は享徳元年（1452年）11月10日に赤痢により、わずか二十歳という若さで亡くなっています。

また、『応仁記』に登場する「布施左衛門佐」という人物は、従来、勝豊を指すものと考えられていました。しかし、同書には「山名相模守（教之）の一族」であるとも記されており、現在ではこの「布施左衛門佐」は伯耆山名氏出身の山名豊氏を指すという説が有力になっています（参考：『新編岩美町誌 上巻』）。このように、山名勝豊については不明な点が多く、今後の研究によって新たな発見が期待される人物です。

参考文献

* 国会図書館デジタルコレクション『師郷記』（享徳元年11月10条）

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