足利義勝

足利義勝とは

足利義勝（あしかが よしかつ）は、室町時代中期の武将で、室町幕府の第7代征夷大将軍です。1442年から1443年までの短い期間在任しました。第6代将軍・足利義教の長男として生まれましたが、わずか9歳で将軍職を継いだため、その治世は幕府の重臣たちに大きく左右されました。

生涯

1434年、足利義教の庶子として生まれ、幼名は千也茶丸（せんやちゃまる）と名付けられました。母は側室の日野重子ですが、正室の猶子となり、世子として認められました。幼少期は、政所執事・伊勢貞国の屋敷で養育され、8年間を過ごしました。

1441年、父・義教が嘉吉の変で暗殺されると、千也茶丸は室町第に移され、管領・細川持之ら大名に擁立され、後継者となることが決定しました。その後、後花園天皇から「義勝」の名を与えられ、室町殿と呼ばれるようになりました。1442年、9歳で元服し、将軍宣下を受け、第7代将軍となりました。

1443年には、朝鮮からの使節である朝鮮通信使と会見しました。この時、幕府は義勝が幼少であることを理由に入京を断ろうとしましたが、使節が義教への弔意を伝えるためだと説明したため、渋々入京を認めました。使節団は50騎に及び、楽隊も従えていたため、朝廷や幕府の要人たちは幼い義勝をいかに威厳があるように見せるかに苦心したと推測されています。

しかし、同年7月、義勝はわずか10歳（満9歳没）で亡くなりました。死因は諸説ありますが、赤痢による病死が有力視されています。在任期間はわずか8ヶ月という短さでした。後任の将軍には、同母弟の三春（後の足利義政）が選ばれましたが、義勝、義政と幼少の将軍が続いたことで、朝廷や有力守護大名の幕政への関与が強まり、将軍の権威は大きく揺らぎ始めました。

人物

義勝は幼少のため政治能力は無く、実権は管領の細川持之が掌握しました。持之は、嘉吉の乱を起こした赤松満祐の討伐を主導し、また、嘉吉の徳政一揆なども平定しました。その後、持之が管領を辞任すると、畠山持国や山名持豊、生母の日野重子らが実権を握りました。

墓所と木像

義勝の墓所は安国寺慶雲院にあったとされていますが、焼失したため現存しておらず、遺骨も所在不明です。一方、等持院には義勝の木像が現存しています。この木像は束帯姿をしていますが、義勝は参内経験がないため、朝鮮通信使との対面が参考にされたとする見方もあります。建仁寺の塔頭・霊源院には、義勝が描いたとされる「達磨図」が現存しています。

官歴

1441年：従五位下に叙位。
1442年：元服し、正五位下・左近衛中将に任官。征夷大将軍宣下。
* 1443年：従四位下に昇叙。卒去。

偏諱を受けた人物

義勝から偏諱（名前の一字）を受けた人物には、公家では小島勝言、日野勝光、武家では宇佐美勝祐、細川勝元、細川勝之、細川勝氏、細川勝信、細川勝久、細川勝益、京極勝秀、山名勝豊、千秋勝季などがいます。

関連作品

1994年のNHK大河ドラマ「花の乱」では、久我未来が足利義勝を演じました。

まとめ

足利義勝は、幼くして将軍となったものの、その短い在任期間は幕府の権威が揺らぎ始める転換期となりました。彼の短い生涯は、室町時代の政治情勢を考える上で重要な出来事として、後世に語り継がれています。

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