山名政実

山名政実（やまな まさざね）に関する考察

山名政実は、室町時代の重要な人物であり、因幡の守護を務めました。彼の生年や幼少期については詳細な記録が残っていないものの、彼は山名政康の子として生まれ、伯父の山名熈成の養子となったと伝えられています。通称は孫次郎であり、官位は治部少輔でした。

政実の幼少期に関する情報は非常に限られていますが、『蔭凉軒日録』には彼が幼い頃から蔭凉軒の喝食を受けたことが記されています。彼の政治的なキャリアは、長享2年（1488年）8月13日に始まり、播磨守護代の浦上則宗の支援を受けて因幡守護に就任しました。山名氏は赤松氏などと対立しており、政実の就任はこのような背景の中で行われました。彼は同年の8月24日には足利義尚の六角征伐にも参加し、その際に義尚と対面しています。

因幡での治世においては、反守護の勢力が増大しており、特に国人である毛利貞元らが山名豊時からの自立を目指していました。長享年間から再び起こった反乱は「第二次毛利次郎の乱」と呼ばれ、これにより政実は毛利勢力に擁立されたものの、京都に滞在していた時期もあったようです。

延徳元年（1489年）2月には、反守護勢力の劣勢が伝えられたことから、政実は急遽因幡に戻り、旧守護・山名豊時陣営との対立が続きました。ただし、彼に対する支持は広がらなかったため、同年9月に行われた徳丸河原合戦では、彼側の有力な国人である北川与三左衛門が離反し、結果的に政実の軍が敗北を喫しました。

その後、11月中旬に豊時軍の強襲を受け、市場城が陥落します。『蔭凉軒日録』には、政実が自刃を試みた際に矢部氏に止められたエピソードが記されています。彼は矢部氏の主従・約30人と共に市場城から脱出し、若桜の矢部氏の館へと逃れることに成功しましたが、追撃してきた豊時軍によってその館も包囲され、逃げ道を失ってしまいます。最終的には、政実は矢部勢と共に自ら命を絶つという悲劇的な結末を迎えました。

政実の短い治世は、彼の治世そのものやその後の歴史に与えた影響を考える上で興味深いものです。彼の身に降りかかった波乱は、当時の因幡やその周辺地域の権力闘争の混乱を反映しており、彼の存在はこの時代における守護の重要性を再認識させるものとなります。

参考文献

• - 高橋正弘『因伯の戦国城郭　通史編』（自費出版、1986年）
• - 宮田靖国編『山名家譜』（六甲出版、1987年）
• - 若桜町教育委員会『若桜町埋蔵文化財調査報告第2集　鬼ヶ城遺跡Ⅱ』（1991年）
• - 谷本進・角田誠編『因幡若桜鬼ヶ城』（城郭談話会、2000年）

関連項目

• - 毛利次郎の乱
• - 山名豊時
• - 毛利貞元
• - 矢部定利

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