北コーカサス

北コーカサスについて

北コーカサス（きたコーカサス、North Caucasus）は、コーカサス地域の中でも大コーカサス山脈の北側に広がる地帯を指します。この地域は、黒海とカスピ海に挟まれた山岳地帯として位置し、地理的にはヨーロッパに属します。

北コーカサスは、英語ではシスコーカサス（Ciscaucasus）やシスコーカシア（Ciscaucasia）とも呼ばれ、コーカサス山脈の南側をザカフカジエ（Transcaucasia）と区別しています。地域の大部分はロシア連邦に属しており、行政的には北カフカース連邦管区という構成に組み込まれています。経済的には北カフカース経済地区に属しており、この地域は多様な民族、文化、言語が共存しています。

行政区分

北コーカサスには、ロシア連邦内の複数の行政単位があります。その中には二つの「地方」、すなわちクラスノダール地方とスタヴロポリ地方があります。また、アディゲ共和国、カラチャイ・チェルケス共和国、カバルダ・バルカル共和国、北オセチア共和国、イングーシ共和国、チェチェン共和国、ダゲスタン共和国など、複数の「共和国」も含まれています。

民族と文化

北コーカサスは、コーカサス諸語系、インド・ヨーロッパ語族系、テュルク諸語系といった様々な言語を話す民族が共存しています。この複雑な民族構成は、地域の政治的な不安定さの一因ともなっています。歴史的には、17世紀以降、ロシア帝国が南下を始め、多くの民族がその支配に対抗しました。

19世紀には、北コーカサスの地域はロシア帝国に併合されることとなり、これに対して多くの民族が抵抗運動を展開しました。特に、チェルケス人などの民族はロシアの支配から逃れるためにオスマン帝国へ移住し、現在もシリアやヨルダンには北コーカサス系民族の子孫が多く存在します。

ソ連崩壊後の変化

ソビエト連邦の崩壊後、南コーカサスではジョージア、アゼルバイジャン、アルメニアが独立を果たしましたが、北コーカサスの自治共和国はロシアからの独立を得ることができませんでした。特に、チェチェン共和国では二度にわたる紛争が発生し、地域の状況は依然として不安定なままとなっています。

主な民族集団

北コーカサスには多くの民族が暮らしており、代表的な集団には以下のようなものがあります：

• - チェチェン人
• - イングーシ人
• - ダゲスタン人
• - オセット人
• - カラチャイ人
• - チェルケス人
• - テュルク系民族（アゼリー人、クミク人、ノガイ人）
• - アグール人、アヴァール人、ラク人、レズギン人、ルトゥル人、タバサラン人、ツァフル人、アブハズ人、アバザ人、ウビフ人など。

地理特性

北コーカサスの地理的範囲には、大コーカサス山脈の北側の斜面と広大なステップ地帯が含まれます。北の境界は通常、クマ＝マヌィチ窪地とされ、そこから北へは東ヨーロッパ平原が広がります。この地域は、古くから重要な交通路や商業拠点となってきた歴史を持ち、その地理的特性は周辺国との関係性にも影響を与えています。

このように北コーカサスは、歴史、文化、地理が複雑に絡み合ったユニークな地域で、各民族の多様性が地域の文化を豊かにしています。

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