山峡の章

『山峡の章』の紹介

『山峡の章』は、著名な作家・松本清張による長編推理小説であり、1965年に光文社から刊行されました。この小説は、初めては『主婦の友』に「氷の燈火」として1960年から1961年に連載され、多くの読者に支持されました。その後、作品は何度もテレビドラマとして映像化され、さまざまなキャストやスタッフにより新たな形で表現されています。

あらすじ

物語は、主人公の朝川昌子が九州旅行をしている最中に官公庁で働く堀沢英夫と友人の吉木に出会うことから始まります。旅行の後、昌子は堀沢と結婚しますが、新婚生活は次第に厳しいものになっていきます。堀沢のエリート意識や冷たさに昌子は違和感を覚え、日々の生活への不安感が募ります。

やがて、堀沢と昌子の妹である伶子が失踪するという衝撃的な出来事が起こります。二人の遺体が宮城県の作並温泉付近で見つかり、マスコミは彼らの情死行を報じます。昌子は堀沢と伶子の不倫関係を信じきれず、真実を探るために動き出すのです。物語は、彼女が真相を追求する姿を通じて、愛、裏切り、そして真実への執念を描いています。

主な登場人物

• - 朝川昌子: 主人公で、女子大を卒業したばかりの若い女性。
• - 堀沢英夫: 官庁に勤める昌子の夫で、九州旅行中に出会った青年。
• - 吉木: 堀沢の友人で旅行に同行。
• - 朝川怜子: 昌子の妹で大学生、明るく行動的な性格。
• - 大友了介: 怜子が知り合った会社社長。
• - 小野喜久子: 婦人雑誌で家庭欄を担当する記者。
• - 竹村: 堀沢の上司。
• - 野地: 竹村の部下。

テレビドラマ化

『山峡の章』は1970年から2010年にかけて数回にわたりテレビドラマ化されています。

1970年版

• - タイトル: 霧氷の影
• - 放送期間: 1970年12月
• - キャスト: 浜美枝、原田芳雄など
• - スタッフ: 脚本・清水邦夫、監督・宇留田俊夫

1972年版

• - 放送期間: 1972年11月から12月
• - キャスト: 大空眞弓、久富惟晴など
• - スタッフ: 脚本・田村多津夫、音楽・大野雄二

1981年版

• - タイトル: 松本清張の山峡の章
• - 放送日: 1981年10月
• - 視聴率: 28.0%を記録
• - キャスト: 音無美紀子、目黒祐樹など

2010年版

• - タイトル: 松本清張ドラマスペシャル『山峡の章』
• - 放送日: 2010年1月
• - キャスト: 菊川怜、岡田義徳など

このように『山峡の章』は、一貫して人気を持ち続け、さまざまなメディアを通じてその魅力を伝えています。推理小説としての要素と、人物間の複雑な人間関係が織り成すストーリーは、多くの読者や視聴者に感情的な共鳴を呼んでいます。

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