山崎賢二

山崎賢二は、1929年5月5日に長野県上水内郡桐原村（現在の長野市）に生まれました。彼は、1953年に法政大学文学部英文学科を卒業後、岩波書店への入社が決まっていましたが、母親の強い希望により故郷へ戻り、長野女子高等学校で英語教師として教鞭を執ることになりました。

教員生活を送る中で、山崎は教育現場のニーズに応える教材の必要性を痛感します。1963年、彼は東京へ移り、都内の私立高校で教職を続けますが、1966年、故郷の名を冠した「桐原書店」を創業し、出版業界へと足を踏み入れました。

当初、桐原書店は英語の副教材を中心とした教育書や学習参考書の出版を手掛けていました。しかし、1980年代初頭に『積木くずし』（穂積隆信著）が社会現象を巻き起こすほどのベストセラーとなったことをきっかけに、出版社としての方向性を大きく転換します。この成功を機に、桐原書店は教育分野だけでなく、人生や文化全般に寄与する書籍を出版する総合出版社へと発展を遂げました。

山崎賢二は、教育者としての経験を生かし、読者のニーズに応える出版活動を精力的に展開しました。彼の先見の明と決断力は、桐原書店を教育出版から総合出版社へと変貌させ、出版業界に大きな影響を与えました。

山崎賢二は2000年3月21日に逝去しましたが、彼の創業した桐原書店は、現在もなお出版活動を続けており、その遺志は受け継がれています。彼の生涯と業績は、出版業界に大きな足跡を残し、多くの人々に影響を与え続けています。

参考文献:

塩沢実信『出版王国の戦士たち』彩流社 1983年
『現代物故者事典　2000〜2002』日外アソシエーツ 2003年

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