山本怡仙

山本怡仙（やまもと いせん）

山本怡仙（1828年 - 1880年）は、幕末から明治初期にかけて活躍した日本の実業家であり、教育者です。幼名は仙次郎、字は等一、通称は平三郎、階。怡仙、怡僲、楳堂或いは梅堂逸人とも号しました。松井耕雪、松村友松とともに「府中三人衆」と称され、越前府中（現在の福井県越前市）の文化・産業の発展に大きく貢献しました。

生涯

越前府中（旧武生市）で、代々酢の製造を業とする「天王屋」という商家に生まれました。天王屋は、領主本多家の御用商人でもありました。

1856年、府中に立教館を創設し、その運営資金を寄付しました。この立教館は、地域の子弟の教育に貢献しました。

1863年には、福井藩士の三岡八郎（由利公正）と協力し、酢をオランダへ輸出する事業を試みましたが、これは失敗に終わりました。

1872年、武生進修小学校の開校に尽力し、教師や学務員として教育現場に携わりました。教育の普及に尽力したことが伺えます。

1879年、北海道に渡り、開拓使工業局に勤務しました。北海道の産業発展策に関する建白書を提出したり、私費で越前から職人を呼び寄せ、屋根瓦を製造させました。月寒村（現在の札幌市月寒地区）に煉瓦工場を建設し、専門の職人を招いて、札幌における煉瓦製造の基礎を築きました。彼の功績は、札幌の都市景観の形成に大きく寄与しました。

1880年、石狩川沿岸の地質調査中に乗馬から落馬し、それが原因で亡くなりました。法名は智光院以信日覚居士。遺骨は、町村金弥によって郷里の武生に送られました。

親族

山本怡仙の家系からは、著名な人物が輩出されています。

三女：そと（福井県士族町村金弥に嫁す）
孫：町村金五（北海道庁長官、参議院議員）
曾孫：町村信孝（衆議院議員、外務大臣）
従兄：橘曙覧（歌人）
従姪孫：井手薫（建築家）

参考文献

『町村金五伝』 北海タイムス社、1982年、439-441頁
* 町村信孝 『保守の論理 「凛として美しい日本」をつくる』 PHP研究所、2005年、139-144頁

山本怡仙は、越前府中の発展に貢献しただけでなく、北海道の開拓にも尽力した人物として、その功績は記憶されるべきでしょう。

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