山本悟 (侍従長)

山本悟

山本悟（やまもと さとる、1925年7月14日 - 2006年12月17日）は、日本の官僚です。総理庁、自治省でのキャリアを経て、宮内庁次長、侍従長を歴任しました。

生い立ちと官僚への道

旧制東京府立一中、第一高等学校を経て、1945年に東京帝国大学法学部に入学。しかし、直後に召集を受け、入営を目前に終戦を迎えました。1947年11月には高等文官試験行政科試験に合格。1948年に東京大学法学部政治学科を卒業し、総理庁に入庁しました。同期には、中島二郎（のち警視庁副総監）や林忠雄（のち自治省事務次官）がいます。

総理庁では内事局官房自治課に配属。その後、自治省選挙課長（1966年）、徳島県副知事（1968年）、行政局選挙部長（1971年）、官房長（1973年）、行政局長（1976年）、財政局長（1977年）を歴任しました。

宮内庁での活躍

1978年5月、宮内庁次長に就任。昭和天皇の傘寿記念行事や東京サミットでの接遇、浩宮（現・今上天皇）の結婚問題など、数々の重要な場面でその手腕を発揮しました。1988年4月には、徳川義寛の後任として侍従長に就任。入江相政、徳川と続いた生え抜きの侍従長の後を継ぎました。富田朝彦の後任である藤森昭一宮内庁長官と共に、昭和から平成への代替わりという歴史的な転換期を支え、昭和天皇の闘病、大喪の礼、即位の礼など、重要な儀式を取り仕切るという重責を担いました。また、天皇皇后両陛下の東南アジア、中国、ヨーロッパ諸国への訪問にも随行しました。

1996年8月、一過性脳虚血発作により入院。その後、二度目の発作で脳梗塞と診断され、鎌倉節宮内庁長官に辞意を伝え、12月12日付で退任しました。退任の際には、「病気のためご奉仕もできぬままに退官することを大変申し訳なく思っております」とコメントを発表。昭和天皇崩御への思いや、平成の御代での両陛下の海外訪問に随行したことなどが、深く心に残る出来事であったと述べています。

退任後

退任後の1997年11月、勲一等瑞宝章を受章しました。2006年12月、肺炎のため、東京・千代田区の病院で生涯を閉じました。

家族

父は陸軍主計中将の山本昇。妻の君代は、政治家の町村金五の三女で、同じく政治家の町村信孝の姉です。

山本悟は、激動の時代に天皇を支え、日本の歴史に深く名を刻んだ官僚でした。その冷静沈着な判断力と卓越した実行力は、多くの人々に尊敬され、記憶されています。

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