山本清 (考古学者)

山本清 - 古代出雲文化研究の礎を築いた考古学者

山本清（やまもと きよし、1907年11月23日 - 2001年12月29日）は、日本の考古学研究者であり、島根大学名誉教授として知られています。1907年、島根県八束郡生馬村（現在の松江市西生馬町）に生まれました。旧制松江高等学校を経て、1934年に京都帝国大学文学部史学科（国史学専攻）を卒業しています。

卒業後は、島根県内の学校で教員として勤め、教育に携わる傍ら、考古学への関心を深めていきました。島根県八束郡本庄村尋常高等小学校代用教員、島根県立松江中学校講師、同教諭、島根師範学校教授を歴任した後、1950年に島根大学教育学部助教授に就任。その後、1951年には島根大学文理学部助教授となり、1965年には同大学文理学部教授に昇進しました。1971年に島根大学を退官し、1972年には名誉教授の称号を授与されています。

山本氏の考古学研究における転機は、1947年に梅原末治博士と共同で行った金崎1号墳（島根県松江市）の発掘調査でした。この経験を契機に、本格的に山陰地方の考古学研究に取り組み始めます。その後、数々の重要な遺跡の発掘調査を主導しました。その中には、松本1号墳（島根県雲南市）、造山3号墳（島根県安来市）、出雲国府跡（島根県松江市）、そして出雲玉作跡（島根県松江市）など、古代出雲文化を理解する上で欠かせない遺跡が含まれています。これらの発掘調査を通して、古代出雲の社会構造や文化、生活様式といった様々な側面を解明する上で重要な知見をもたらしました。

研究活動に加え、山本氏は後進の育成にも尽力しました。指導した学生たちは、日本の考古学界で活躍する研究者となり、山本氏の学問的貢献は、直接的な研究成果だけでなく、次世代の育成という側面からも計り知れません。

研究者としての業績は発掘調査にとどまらず、多くの著作にも表れています。代表的な著書には、『出雲の古代文化』（六興出版、1989年）、『古代出雲の考古学 遺跡と歩んだ70年』（ハーベスト出版、1995年）などがあります。これらの著作は、分かりやすい解説と豊富な図版で知られ、一般の人々にも古代出雲文化への理解を深める機会を提供しました。さらに、『風土記の考古学 出雲国風土記の巻』（同成社、1995年）では編著を担当し、『さんいん古代史の周辺』（山陰中央新報社、1978-1980年）では監修を務めるなど、幅広い活動で古代出雲研究の発展に貢献しました。

2001年12月29日、老衰のため逝去。享年94歳。山本清の没後も、彼の残した研究成果と教育活動は、日本の考古学界、そして古代出雲文化研究に大きな影響を与え続けています。彼の功績は、単なる発掘調査の記録を超え、古代出雲文化を深く理解するための重要な基盤として、現在も高く評価されています。

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