山本義隆

山本義隆に関する詳細情報

山本義隆（やまもと よしたか）は、1941年12月12日に大阪府で生まれた日本の著名な科学史家であり自然哲学者、教育者です。彼はまた、学生運動家としても知られ、駿台予備学校で物理を教える講師としての長いキャリアがあります。東京大学大学院の博士課程を中退した後、彼は特に物理学の分野で多くの研究を行ってきました。

学歴と初期の活動

山本は大阪市立船場中学校および大阪府立大手前高等学校を経て、1960年に東京大学理科一類に入学しました。1964年に東京大学理学部物理学科を卒業し、同大学院で素粒子論を専攻しました。その後、京都大学基礎[[物理学研究所]]に留学するものの、1960年代には学生運動に身を投じ、特に東大ベトナム反戦会議の活動を行いました。

彼は、1969年の安田講堂事件の前には警察に指名手配され、逃亡生活を送りましたが、結局逮捕されることとなります。この時期、彼は全共闘運動の顔として広く知られていました。拘置所では、日大全共闘議長の秋田明大と再会し、運動の象徴としての役割を果たしました。

学生運動とその後の研究活動

学生運動の活動後、山本は大学での研究生活に戻ることはなく、在野の研究者としての道を歩みました。特に「68・69を記録する会」に参加し、全共闘運動に関する一次資料の収集に努めました。その結果、『東大闘争資料集』全23巻を国会図書館に納める成果を上げました。また、彼の文筆活動も活発で、2015年には著書『私の1960年代』を出版しています。

翻訳と著作

山本の研究成果として、エルンスト・カッシーラーの著作の翻訳に関わったことが挙げられます。1979年にはカッシーラーの『実体概念と関数概念』を翻訳し評価され、その後も翻訳作業を続けてきました。彼が著した著作群には、1981年の『重力と力学的世界 古典としての古典力学』や1997年の『古典力学の形成 ニュートンからラグランジュへ』などがあります。

特に『磁力と重力の発見』全3巻は評価が高く、いくつもの賞を受賞しています。また、彼は近代科学が西洋で興った理由に関する問題意識を2007年に発表した『一六世紀文化革命』に引き継ぎました。

教育者としての役割

山本は駿台予備学校での講師としても知られ、30年以上にわたって多くの受験生を指導してきました。彼の講義は東京大学を含む最上位の学校に進みたい学生を主な対象にしており、参考書『物理入門』および『新物理入門』は高校物理教育において広く使用されています。

科学技術への警鐘

また、原子力発電所に対する警鐘を鳴らし続けており、福島の原発事故の後には『福島の原発事故をめぐって』という書籍を出版しました。彼の著作は多岐にわたる分野に影響を及ぼしており、科学史の枠を越えて社会的にも重要な意義を持つものとなっています。

結論

山本義隆は、研究者、教育者としてだけでなく、社会問題提起者としてもその足跡を残した人物です。彼の活動や著作を通して、科学と社会の関係についての理解を深めることができるでしょう。

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