山本達雄 (政治家)

山本達雄の生涯と業績

山本達雄（1856-1947）は、日本の銀行家および政治家で、明治から昭和にかけて活躍した著名な人物です。彼は43歳で第5代日本銀行総裁に就任し、その後貴族院議員や大蔵大臣を歴任するなど、多岐にわたる政治活動を行いました。

彼の人生は、大分県の豊後国臼杵藩士・山本確の次男として始まりました。藩校に通いながら文武に秀で、13歳の時に家業の養嗣子となりますが、家計は困窮していました。内職で家計を支えながら、17歳で大阪に出て教育職を務めることで学費を稼ぎ、後に東京へ移り慶應義塾で福澤諭吉に師事しますが、経済的理由から学業は短期間で終わります。この後、三菱財閥が経営していた明治義塾へ転校し、卒業後は岡山の県立商法講習所で教頭を務めました。

次第に彼は商業界に足を踏み入れ、1883年に郵便汽船三菱会社に入社します。この職場での活躍が評価され、1890年には日本銀行に入行し、1898年に第5代の日本銀行総裁に任命されることとなります。ここでの彼の財政政策は非常に野心的であり、とりわけ金融の引締めや政府の赤字財政の改善を要求します。この姿勢は政府との対立を生む結果となりましたが、彼は「日本銀行の主体性」を堅持しました。そして、就任からわずか4ヶ月後には、銀行内部の反感を受けつつも、重要な人事刷新を行い、最終的には先代の総裁の任期が切れるまでその職務を全うしました。

1903年以降は政界に進出し、貴族院議員や日本勧業銀行総裁としての役職を歴任します。1911年には、初の財界出身の大蔵大臣に任命され、日露戦争後の財政健全化に貢献しました。しかし、彼は軍部の軍拡方針には批判的であり、そのために内閣総辞職の原因となる衝突を招きました。このような中で、彼は政友会と密接な関係を築いていきます。

1925年には、政友会の方針に疑念を抱き、政友本党を結成しましたが、支持を得られず勢力を削がれることとなりました。その後、立憲民政党の最高顧問に就任し続け、1940年の大政翼賛会の結成までその役職に留まりました。戦後、貴族院の解体が進み、彼の政治的影響力は衰退しましたが、92歳で世を去るまで日本の政治に影響を与え続けました。彼の生涯は、日本の銀行制度や財政政策の発展に大いに寄与したことが多くの人々に記憶されています。

栄典

山本達雄はその業績により多くの栄典を受けています。位階は正二位、勲等は勲一等に及び、さらに男爵の爵位も授与されました。彼の生涯の中で、数々の勲章も受け取り、特に旭日重光章や瑞宝章などが目立ちます。

彼の業績に関する記録は日本銀行や多数の研究機関によって今なお評価されており、彼の影響力は長く日本の政界や経済に残り続けています。

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