山海堂 (出版社)

株式会社山海堂の歴史と出版物

株式会社山海堂（さんかいどう）は、日本の工業・技術系出版社であり、多くの専門書や雑誌を世に送り出しました。その中でも特に土木工学やモータースポーツに関連する出版物で知られています。1896年1月22日、来島正時によって神田に設立され、初めは中学教科書や学習参考書を中心に事業を展開しました。

企業の沿革

設立当初は教育関連の出版に専念していましたが、やがて土木工学や自動車関連の教科書や雑誌へと出版領域を広げていきました。1951年には法人化し、株式会社として新たなスタートを切りました。

平成年間には業績がピークを迎え、平成7年2月期には約30億9900万円という年商を記録しました。しかし、その後日本全体が出版不況に見舞われる中、山海堂も苦境に立たされ、平成19年2月期には年商が約10億円にまで減少しました。

この低迷を受けて、同社は不採算雑誌の廃刊や社員の整理解雇、さらには労働組合の解散といった厳しい措置を講じましたが、業績改善には至りませんでした。2007年12月3日、全従業員に対する解雇通知と共に業務停止が告げられ、裁判所に債務整理を依頼しました。創業から111年余りで、負債は約17億5000万円に達し、事実上倒産してしまいました。以来、社屋はロックアウトされたままとなっています。

出版物の種類

山海堂は、専門書や雑誌の発行を通じて、土木工学、建築、機械工学など広範な分野に貢献しました。出版物の内訳を見てみると、土木工学が約50%、建築が10%、機械工学が10%、その他が30%を占めています。

主な雑誌

土木施工や内燃機関（1962年から1995年まで発行）をはじめ、多くのモータースポーツに関する雑誌が刊行されました。また、オートテクニック、ラリー＆ラリー、F1モデリング、等も人気があり、最大で290号にまで達したサイクルサウンズなど、多様なジャンルに対応しました。いくつかの雑誌は他社によって復刊されることもありました。

主要な書籍

また、土木工学や建築、自動車工学、機械工学の教科書の他、国家試験の参考書や各種趣味の実用書も発行していました。代表的な書籍には「土木工学ポケットブック」や「コンクリート用語事典」が存在します。このように、山海堂は専門分野だけでなく、一般向けの書籍も幅広く扱っていました。いくつかの出版物は、東京電機大学出版局により再発行されることもあります。

結論

株式会社山海堂は、長い間日本の工業・技術系出版の一翼を担い、多くの専門家や学生に影響を与えてきました。その歴史的な影響力にも関わらず、出版業界の厳しい状況に取り込まれ倒産に至ったことは、時代の変遷と業界の難しさを象徴しています。

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