山瀬ダム

山瀬ダム（秋田県大館市）

山瀬ダムは、秋田県大館市岩瀬に位置し、米代川水系岩瀬川に建設された多目的ダムです。このダムは、岩瀬川総合開発事業の中核として、洪水調節、流水の正常な機能の維持、水道用水と工業用水の供給、そして水力発電という重要な役割を担っています。

ダムの目的

洪水調節: 岩瀬川沿川の洪水被害を防ぐため、計画高流量760m3/sのうち560m3/sを調節します。
流水の正常な機能の維持: 岩瀬川下流地域の既得用水を補給し、河川環境の保全に貢献します。
水道用水の供給: 田代町と能代市へ、合わせて9,000m3/日の水道用水を供給します。
工業用水の供給: 東北電力能代火力発電所へ、14,000m3/日の工業用水を供給します。
発電: 山瀬発電所を新設し、最大2,100kWの発電を行います。

建設の背景

岩瀬川は過去に幾度も氾濫を繰り返し、特に昭和38年と昭和47年の洪水では甚大な被害が発生しました。また、農業用水の不足や、田代町における慢性的な渇水、能代市の人口増加に伴う水需要の増加、そして能代火力発電所の建設など、水資源の安定供給が急務となっていました。これらの課題を解決するため、山瀬ダムの建設が決定されました。

流域の概要とダムの形式

岩瀬川は、青森県境の三ッ森山を源流とし、流域面積122.9km2、流域延長30kmの一級河川です。流域の年間降水量は多いものの、積雪が多いため融雪期以外は水量が不足しがちです。また、夏期には集中豪雨が発生しやすい地形的特徴があります。ダムサイトの地質は、主に第三紀中新世の凝灰岩類と第四紀洪積世の田代岳噴出物で構成されており、右岸部の基盤が泥流堆積層であることから、中央コア型ロックフィルダムとして建設されました。

観光

山瀬ダム周辺は、観光スポットとしても人気があります。「五色湖祭り」や大館市民限定のバスツアーでは、ダム堤体の内部を見学できます。また、緑地公園や石の塔への登山道、キャンプ場、渓流釣りスポット、タケノコ採り場、紅葉の名所など、自然を満喫できる場所が数多く存在します。

参考文献

『山瀬ダム工事誌』、秋田県、平成4年

関連項目

ダム
日本のダム
水力発電

外部リンク

山瀬ダム - ダム便覧
* 『山瀬ダム』 - コトバンク

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