山王神社 (長崎市)

山王神社

山王神社（さんのうじんじゃ）は、長崎県長崎市坂本に位置する神社です。この神社は、かつて存在した村社の山王神社（日吉神社）と県社の皇大神宮が合併して誕生しました。そのため、浦上皇大神宮（うらかみこうたいじんぐう）や山王日吉神社（さんのうひよしじんじゃ）とも呼ばれています。

歴史

山王神社（日吉神社）

1638年、島原の乱鎮圧のために長崎に赴いた松平信綱が、浦上街道を通った際、その風景が比叡山に似ていたことから、山王権現を勧請したのが始まりとされています。当初の鎮座地は不明ですが、1648年に円福寺という寺院となり、1652年には現在の場所に移されました。1868年の神仏判然令により、円福寺は廃止され、日吉神社と改称されました。

皇大神宮

1868年、浦上村のキリシタン対策として、伊勢神宮を勧請し皇大神宮が創建されました。しかし、キリシタンが改宗を拒否したため、神社の経営は困難となり、1881年に日吉神社と合併しました。

原爆の被害と復興

1945年8月9日、長崎への原爆投下により、山王神社は甚大な被害を受けました。爆心地から約800メートルの地点に位置していたため、社殿や宝物などは焼失しましたが、奇跡的に残ったものがあります。

一本柱鳥居

二の鳥居は、原爆の爆風で片方の柱が吹き飛ばされた状態で残っています。この鳥居は、原爆の恐ろしさを伝える象徴として、多くの人々に知られています。一の鳥居は後に倒壊しましたが、三の鳥居の一部は碑として残されています。

被爆楠

境内に立つ2本の楠も原爆の被害を受けました。熱線で焼かれ、黒焦げになりましたが、その後力強く蘇り、豊かな緑を取り戻しました。この楠は、生命の力強さを示すものとして、人々に希望を与えています。特に、その生命力に肖った「大くす守」というお守りは人気があります。また、被爆による突然変異を起こしていることが判明しており、その種子から育てられた「被爆クスノキ二世」は、平和の象徴として国内外に贈られています。

祭祀

例祭は10月17日に行われ、浦上くんちという祭りが奉納されます。浦上くんちは、かつては9月18日に行われていた祭りで、山王神社の重要な祭典の一つです。

社殿

本殿は神明造風の建物で、屋根は銅板で葺かれています。

文化財

長崎市指定天然記念物：山王神社の大クス

アクセス

長崎電気軌道：大学病院停留場から徒歩5分
* 長崎バス：坂本町バス停から徒歩2分

まとめ

山王神社は、原爆の悲劇を伝えるだけでなく、生命の力強さと復興の象徴としても重要な場所です。一本柱鳥居や被爆楠は、その歴史とメッセージを静かに語りかけています。長崎を訪れた際には、ぜひ山王神社を訪れてみてください。

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