山田三方

山田三方の歴史と意義

山田三方（やまださんぽう）は、室町時代に自治都市として栄えた伊勢の自治組織であり、三方寄合（さんぽうよりあい）や三方老若（さんぽうろうにゃく）とも呼ばれていました。この組織は、永享年間（15世紀前葉）に神役人らが地元の勢力を駆逐し、伊勢大神宮への奉仕を行うと同時に、山田の町の政治を支えるために設立されました。具体的には、山田三方会合所（やまださんぽうえごうしょ）という役所が設けられ、以後幕末に至るまでその職務を担ってきたのです。

語源と構成

「三方」という名前の由来は「三保」にあり、これは郷保を示すもので、いくつかの戸数が集まって形成された集落を指していました。『神宮典略』には、山田三保が江坂方、須原方、岩淵方の位置を持つことが記されており、これらの地域が三つに分かれていたことが伺えます。また、橋本安居の『神都雑事記』によると、三方は山田を三つに分け、その地域の年寄りが町の運営を行っていたことが示されています。さらに、年寄りが地域を管理し、公務と両立させていたことも伺えます。

事績と神境合戦

山田三方は、内宮引付を通じてさまざまな神事を執り行い、文明11年（1479年）には神領奉行職の愛洲忠行が山田三方と蔵方牢人との間の紛争に対応しています。特に、神役人間の確執が激化した神境合戦（宇治山田合戦）においては、国司家北畠氏が仲介に入ったことで更なる争いが生まれました。この合戦は、両宮への兵馬の進出を引き起こし、宮城に兵火が及ぶという結果を招きました。

室町幕府の下問に対して、北畠氏は関所の設置を正当化し、神役人の争いが勃発した理由を盛り込んだ返答を行っています。要するに、山田三方の役人が北畠氏の被官たちを退治したとされ、さらなる混乱に発展したのです。特に、宇治と山田の神役人の対立から、外宮が焼失するなどの事件も起こり、その背後には北畠政郷ら国司家の介入があったことが示唆されています。

戦国時代とその後

戦国時代には、北畠晴具が神人層の対立に介入し、山田三方が命令を無視したことを理由に出兵しました。この行動は、宮川での戦いを引き起こし、両門前町を支配下におく結果を生み出しました。そして、山田三方と蔵方との間の抗争は、後に「倉」と名のついた御師職の存続に繋がり、明治維新まで続くことになります。

まとめ

山田三方は、伊勢の歴史において重要な役割を果たした自治機関であり、その影響力は千年近い歴史を有しています。地域の自治や神事の運営に携わり、様々な抗争を経て地域の発展に寄与したこの組織は、現在の伊勢商工会議所へと受け継がれています。また、地域の神社や歴史的事象とともに、今日においてもその遺産は受け継がれています。

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