山田三郎 (画家)

山田三郎（やまだ さぶろう）は、1927年から1979年までを生きた日本の画家であり、その才能は主に書籍の挿絵や絵本といった分野で開花しました。本名は禄太郎（ろくたろう）といい、親しい仲間からは「ロクちゃん」という愛称で親しまれていました。

彼のキャリアは、人形制作工房での仕事から始まりました。その後、1947年に人形劇団プークに参加し、美術スタッフとして人形劇の世界に足を踏み入れます。プークは当時、戦時中の中断から再建に取り組んでおり、山田はそこで重要な役割を果たしました。1953年にはプークを離れていましたが、映画『セロ弾きのゴーシュ』の制作においては、人形のデザインなど、実質的な中心人物として貢献しています。

また、児童文学者の瀬田貞二との出会いは、山田の作風に大きな影響を与えました。1950年代には、瀬田が中心となって編集していた平凡社の『児童百科事典』シリーズにおいて、数多くの挿絵を担当。この頃から、子ども向けの絵やイラストレーションの分野で頭角を現し始めます。

1960年代以降は、絵本や児童書への挿絵制作に本格的に取り組みました。『三びきのこぶた』、『ちびっこカムのぼうけん』、『ながいながいペンギンの話』など、今日まで読み継がれる名作に携わり、その才能が高く評価されています。

作家の飯沢匡は、山田三郎の画業を高く評価し、「日本の動物画の第一人者」と評したと伝えられています。彼の描く動物たちは、写実的でありながらも温かみがあり、見る者の心を捉えて離しません。

主な絵本、挿画提供作品

かもときつね、ビターリー・V・ビアンキ（内田莉莎子・訳）、福音館書店、1962年
ピノキオ、コロディ・原作（関英雄・編）、あかね書房、1963年
白いりす、安藤美紀夫・作、講談社、1965年
きつねとねずみ、ビターリー・V・ビアンキ（内田莉莎子・訳）、福音館書店、1967年
三びきのこぶた、イギリス昔話（瀬田貞二・訳）、福音館書店、1967年
ながいながいペンギンの話、いぬいとみこ・作、理論社、1999年
ちびっこカムのぼうけん、神沢利子・作、理論社、1999年
3びきのこぶた、岡信子・文、世界文化社、2011年

山田三郎の作品は、世代を超えて多くの人々に愛され続けています。彼の描く温かみのある絵は、子供たちの心に豊かな想像力を育み、忘れられない思い出として刻まれるでしょう。

もう一度検索