山田勝次郎

山田勝次郎の生涯

山田勝次郎（やまだ かつじろう）は、1897年（明治30年）10月7日に群馬県高崎市で生まれ、1982年（昭和57年）6月7日に84歳で亡くなった日本の経済学者です。筆名として柏崎次郎（かしわざき じろう）を用いていました。彼は、経済学者である蠟山政道（ろうやま まさみち）の弟であり、小山長四郎（こやま ちょうしろう）、蝋山芳郎（ろうやま よしろう）の兄にあたります。

学歴と初期の研究

旧制新潟県立柏崎中学校、旧制第一高等学校を経て、東京帝国大学農学部農業経済学科を卒業しました。その後、京都帝国大学の助教授に就任し、研究員として夫人と共にイギリス、ドイツ、フランスに留学しました。この間、経済学の研究に励みました。

共産主義活動と投獄

1930年（昭和5年）、共産党シンパ事件に関与したとして京都帝国大学を辞職。その後、プロレタリア科学研究所に入り、マルクス経済学の立場から農業問題の研究に注力しました。しかし、1932年（昭和7年）には、事件に関連して多摩刑務所に拘置され、懲役2年執行猶予3年の判決を受けました。戦時中の1944年（昭和19年）には、共産主義思想の保持者として検挙され、警視庁に留置されるなど、厳しい状況を経験しました。

戦後の活動と転身

終戦後の1946年（昭和21年）には日本共産党に入党しました。1950年（昭和25年）には、第2回参議院議員通常選挙に全国区から日本共産党公認で立候補しましたが、落選しました。その後、群馬県倉庫協会会長、日本倉庫協会常任理事、全国食糧保管協会理事などの要職を歴任し、経済界で活躍しました。一方で、1964年（昭和39年）には、文化人11名と連名で共産党改革の意見書を発表したことが党幹部に認められず、党を除名されました。その後は、高崎製氷冷蔵の社長、会長を務めるなど、実業界での活動に専念しました。

地域への貢献

1977年（昭和52年）には、高崎駅西口の高崎倉庫本社跡に、東京のデパート髙島屋を誘致し、地域経済の活性化に貢献しました。彼の経営手腕は、地域経済の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

晩年と家族

1982年（昭和57年）6月、84歳で亡くなりました。勝次郎の死後、夫人のとくが、高崎倉庫の社長、のち会長に就任しました。夫人は日ソ親善協会の常任理事を務め、1955年（昭和30年）に開催されたヘルシンキ世界平和大会に日ソ親善協会代表として参加するなど、ソビエト連邦との繋がりが深く、夫と同様に共産主義活動により拘置所に入れられた経験があります。

著書と翻訳

山田勝次郎は、経済学者として多数の著作を発表しました。主な著書には以下のものがあります。

『戦乱の教訓と国民の修養』（文明堂、1919年）
『農業に於ける資本主義の発達』（日本資本主義発達史講座.第2部 資本主義発達史 岩波書店、1932-1933年）
『マルクス資本論』（柏崎次郎 岩波書店、1936年）
『米と繭の経済構造』（岩波書店、1942年）
『地代論論争批判』（同友社、1948年）
『恐慌分析講座』（宮川実共編. 青木書店、1950年）
『地代論』（1957年 岩波全書）

また、翻訳書として以下のものがあります。

『農業政策』（ヴィゴドヂンスキー著、東畑精一共訳、岩波書店、1924年）


山田勝次郎は、経済学者として、また経営者として、激動の時代を生き抜いた人物でした。彼の業績は、日本の経済学、そして地域経済の発展に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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