プロレタリア科学研究所

プロレタリア科学研究所の概要と歴史

プロレタリア科学研究所（略称: プロ科）は、1929年に東京都で設立された日本の民間学術研究団体であり、戦前の科学者が集まり、現実社会に対するマルクス主義的な分析や啓蒙活動を行いました。所員たちは、政治や経済、法律、社会、哲学、歴史、教育、文学、芸術、言語、精密科学、自然科学といった多様な分野に所属し、各自が専門的な研究活動を展開しました。設立当初、所員数は合計88名であり、その中には著名な研究者が名を連ねていました。

設立の背景

プロレタリア科学研究所は、1928年に創設された国際文化研究所を解散・吸収する形で1929年10月13日に東京帝国大学の佛教青年会館で総会を開き、設立されました。所長には、当時の著名な劇作家であり社会活動家である秋田雨雀が就任しました。設立メンバーとしては、三木清、羽仁五郎、小川信一（後の大河内信威）、鈴木安蔵などが名を連ねています。

出版活動

設立からわずか1ヶ月後の1929年11月5日には、月刊機関誌『プロレタリア科学』が創刊され、この雑誌には設立メンバーの他に、野呂栄太郎、蔵原惟人、風早八十二、寺島一夫などが寄稿しました。この雑誌は、労農派との日本資本主義論争や資本主義発達史の科学的研究を行い、マルクス主義的な社会科学研究の発展に寄与しました。しかし、1934年1月号は官憲に押収され、その後は終刊される運命を辿りました。

また、1930年6月には共産主義理論に関する月刊誌『マルクス主義の旗の下に』が白揚社から刊行され、同誌のロシア版もプロ科が編集を行い、さらには1931年からはその編集と発行が統一されました。このような実績を通じて、プロ科はドイツやソ連の国際情勢や哲学論争についての分析を行い、幅広い著作を発表しました。

文化連盟との関係

1931年10月24日、プロレタリア文化連盟（略称: コップ）が結成された際には、その一員として加盟しました。そして1933年1月には、日本プロレタリア科学同盟へと改組され、様々な著名なメンバーが参加しました。これには、永田広志や早川二郎、山室静、平野謙などの名前が含まれています。

政治的立場

一般的に、プロ科は日本共産党の支持者の集まりとして見られていますが、その一方で早期から大衆団体化を求める声が上がっていました。特に1931年頃から党の指導が強まる中、多くの新たな動きが生まれました。しかし、次第にプロ科は大衆的支持を失い、セクト化と呼ばれる現象に陥りました。その結果、他の文化運動と同様に、政治的な主張が先鋭化していくという状況が見受けられるようになりました。このように、プロ科は当初の目的から変化し、最終的には大衆団体と区別がつかない存在となる道を歩むことになりました。

結論

プロレタリア科学研究所は、戦前の日本におけるマルクス主義的研究の発展に大きく寄与した団体であり、その活動は多岐にわたりました。しかし、政治的な圧力や社会的な変化の中で、次第にその方向性が変わり、最終的には当初の理念から逸脱した形で終焉を迎えることとなりました。

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