山田泉

山田 泉

山田 泉（やまだ いずみ）は、1952年7月10日に生を受け、1999年4月10日にこの世を去った日本の作曲家です。教育者としても活動し、桐朋学園大学短期大学部で助教授を務めたほか、東京藝術大学の作曲科では非常勤講師として教鞭をとりました。彼の音楽は国内外の舞台で紹介され、数々のコンクールで評価を得ています。

経歴

東京に生まれた山田泉は、音楽の道を志し、東京藝術大学で作曲を専攻しました。1975年に同学部の作曲科を卒業後、さらに学びを深め、1979年には同大学院の博士課程を修了しています。

学生時代からその才能は認められており、1973年に発表した『レクィエムI "地獄草子"』は、「三人の会」創立20周年記念NET作曲コンクールで第1位に輝きました。卒業後も精力的に作曲活動を続け、1978年には彼の作品がアメリカ・ニューヨークのカーネギー・ホールの舞台で演奏されるという栄誉を得ています。同年には『レクィエムII "天命癸卯年所々騒動留書"』が日本交響楽振興財団の第1回作曲賞に入選するなど、初期から注目を集めました。

国際的な活動も展開し、1988年には韓国で開催された同国最大の現代音楽祭であるパン・ムジーク・フェスティバルに招待され、作品が披露されました。また、日本の現代音楽シーンを活性化させる試みとして、1989年から1991年、そして1995年には自身が企画・主催する演奏会シリーズ「同時代の音楽の夕」を開催し、新たな作品の発信に努めました。

教育者としては、桐朋学園大学短期大学部で助教授として多くの学生を指導し、また母校である東京藝術大学でも非常勤講師として作曲教育に貢献しました。

作曲家としての評価は高く、1991年に作曲した『一つの素描 ピアノとオーケストラによるII』は、第2回芥川作曲賞を受賞しました。この作品をはじめ、彼の主要な作品の多くは全音楽譜出版社などから出版され、広く知られています。

1999年4月10日、惜しまれつつ46歳で逝去しました。

主要作品

山田泉は、多岐にわたる編成のための作品を残しています。その創作活動は初期から晩年まで一貫して実験精神と独自の叙情に満ちています。

代表的な作品としては、初期の受賞作である『レクィエム』シリーズ（I、II）が挙げられます。特に『レクィエムI』は彼の名を広く知らしめるきっかけとなりました。

オーケストラとソリストのための作品も多く作曲しています。1978年の『チェロ協奏曲』、1981年の『一つの素描 ヴァイオリンとオーケストラによる』、1984年の『一つの素描 ピアノとオーケストラによる』、そして芥川作曲賞受賞作である1991年の『一つの素描 ピアノとオーケストラによるII』など、楽器の特性を生かした協奏的作品を残しました。また、1994年には『十二の風景 ヴィオラとオーケストラによる』を発表しています。

独奏楽器のための作品や室内楽も多数手掛けています。1982年の『煩厭的叙情三つ』、1989年の『素描 ヴァイオリン・ソロと弦楽三重奏による』、1990年の『素描 ピアノ・ソロによる』、1994年の『十二の風景 ピアノ・ソロによる』や『素描 ヴァイオリン・ソロによる』、1995年には『素描 ヴィオラ・ソロによる』などを発表しています。

また、室内楽作品では、1995年の『透徹した時の中で フルートとハープによる』とその弦楽版である『透徹した時の中でII フルートと弦楽による』があります。声楽作品としては、同年に女声合唱のための『ヴォカリーズ』を作曲しています。

彼の作品は、全音楽譜出版社やアカデミア・ミュージック、スイスフルート協会（SFG）などから楽譜が出版されており、今も演奏されています。山田泉は短い生涯ながら、日本の現代音楽史において重要な足跡を残した作曲家と言えるでしょう。

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