山角定勝

山角定勝（やまかど さだかつ）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将です。後北条氏、そして徳川氏に仕え、その生涯は激動の時代を反映しています。

出自と初期の活動

山角定勝は、享禄2年（1529年）に山角定次の子として誕生しました。幼少の頃から武士としての道を歩み始め、刑部左衛門尉、後に紀伊守と称しました。その初期の活動は、後北条氏の家臣として、主君である北条氏政の側近として活躍したことが知られています。

後北条氏における活躍

山角定勝は、北条氏政の側近として、その息子である氏直の代には奉行人や評定衆として重要な役割を果たしました。永禄4年（1561年）から天正18年（1590年）までの間には、彼が奉じた虎朱印状が多数現存しており、その行政能力の高さを物語っています。また、元亀2年（1571年）には相模足柄城の普請奉行を務め、城の建設にも携わりました。これらの活動から、山角定勝が後北条氏の重要な家臣として、政治・行政の両面で活躍していたことが伺えます。

徳川家との関係

天正10年（1582年）には、徳川家康と北条氏直の間で講和が成立し、その際に家康の娘である督姫が氏直に嫁ぐことになりました。この婚姻において、山角定勝は媒酌人を務めました。さらに、天正14年（1586年）には、家康への使者として派遣され、徳川家との関係を深めました。これらの出来事は、山角定勝が後北条氏と徳川氏の外交において重要な役割を担っていたことを示しています。

小田原征伐とその後

天正18年（1590年）の小田原征伐で、小田原城が開城した後、山角定勝は氏直に従い高野山へ上りました。翌19年（1591年）に氏直が亡くなった後、山角定勝は徳川家康に仕え、相模国で1200石を与えられました。この時、彼は後北条氏の家臣から徳川氏の家臣へと立場を変えました。その後、隠居し、慶長8年（1603年）に死去しました。墓所は相模国厚木の法雲寺にありましたが、後に江戸正泉寺に改葬されました。

山角氏のその後

山角定勝の嫡男である政定、次男である盛繁も徳川家康に旗本として仕え、山角家は徳川幕府を支える一員として続きました。また、山角氏所縁の鎌倉大長寺には、定勝の室が釈迦涅槃図を寄進した記録が残っており、山角家が文化的にも貢献していたことがわかります。

山角定勝は、戦国時代から安土桃山時代という激動の時代を生き抜き、後北条氏と徳川氏という二つの有力な勢力に仕えた武将でした。彼の足跡は、当時の政治や外交の一端を垣間見ることができる貴重な歴史的資料となっています。

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