山部俊郎

山部俊郎の生涯と棋歴

山部俊郎（やまべとしろう）は、1926年7月31日に東京で生まれた、日本の囲碁棋士です。大正15年生まれの彼は、日本棋院に所属し、向井一男の門下生であり、九段の資格を持つ棋士として知られています。彼はそのキャリアを通じて、本因坊戦や天元戦の挑戦者に名を連ね、合計9回の準優勝を果たしました。山部は非常に直感的で独特な手法を持つ棋士で、「奔放」や「変幻」といったスタイルが評価されています。戦後の囲碁界においては、藤沢秀行や梶原武雄と共に称される三羽烏の一人でもありました。

幼少期と囲碁の始まり

彼は東京麹町に生まれ、7歳の頃に囲碁を学び始めました。父親は新聞記者を辞めた後、碁会所を開店し、そこで初めて囲碁に触れました。竹田逸子三段に師事し、若くして才能を開花させました。13歳になると日本棋院の少年研究会に通い、向井門下の一員として本格的な修行を始めました。

囲碁界での活動

1941年に初段となり、翌年には連続して大手合で3等になり、二段に昇段。その後、戦後は大森に住み、1947年には前田陳爾らと共に囲碁新社を結成しますが、1949年に日本棋院に復帰し、五段に昇格しました。1950年には、日本棋院と関西棋院による東西対抗戦で注目を集め、橋本宇太郎に対して破格の序盤戦を展開し話題となりました。

主な成績と影響

1952年には呉清源との対局で勝利し、1954年には七段に昇格。彼は最高位挑戦者決定リーグに参加し、1956年には八段に昇格しました。1959年には王座戦決勝に進出するも、橋本昌二に敗れます。これ以降も数々の大会で好成績を収め、特に本因坊戦でもその名を馳せました。

1965年の本因坊戦では、プレーオフで藤沢秀行や橋本宇太郎を破り挑戦者となるものの、本因坊の栄寿に敗れてしまいます。この挑戦を振り返り、彼は名局と称される試合の中で、自身の特性が発揮できたものの、最後には圧倒されたことに悔恨の念を抱いたと述べています。

語録とその影響

山部は他の棋士についても鋭い洞察を示し、特に藤沢秀行には「異常感覚」と評されるなどの言葉が注目されました。また、高川格に対しても真剣な意見を述べるなど、その評価や分析は広まりました。個人的には大変シャイな性格で、時には公の場から逃げるようなエピソードもありました。

著作と棋歴

彼の著作も多岐にわたり、アマチュア向けの棋書は特に人気があります。代表作の一つである『碁の魔術シリーズ』では、プロ棋士としての視点から、囲碁の読みや戦略を詳しく解説しています。

まとめ

山部俊郎の生涯は、囲碁界における革新や挑戦の連続でした。彼は独特のスタイルと発想で多くの記録を打ち立て、後の世代の棋士たちに多大な影響を与えました。彼の遺した成績や言葉は、今なお囲碁界で語り継がれています。

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