山鹿誠次

山鹿 誠次

山鹿 誠次（やまが せいじ）は、1916年（大正5年）12月22日に生まれ、2005年（平成17年）7月26日に88歳で逝去した日本の著名な都市地理学者です。東京学芸大学の名誉教授として知られ、都市の構造や変容に関する研究に多大な貢献をしました。

東京市日本橋の出身で、高等教育は地理学と歴史学を専攻しました。1939年（昭和14年）に東京高等師範学校の文科第4部（地理・歴史専攻）を卒業後、さらに学びを深め、1943年（昭和18年）には東京文理科大学の地理学専攻を卒業しています。

卒業後間もなく、太平洋戦争下の1943年10月には海軍予備学生として海軍兵学校に配属されました。翌年には教官を務めましたが、1945年（昭和20年）の敗戦を海軍中尉として迎えました。

戦後の混乱期を経て、1946年（昭和21年）には国民図書刊行会に勤務しました。教育界への復帰は1947年（昭和22年）で、東京第一師範学校女子部の助教授に就任します。その後、学制改革を経て東京学芸大学の設立に関わり、1949年（昭和24年）には同大学の専任講師、1951年（昭和26年）には助教授へと昇進しました。

研究者としての業績も重ね、特に都市に関する研究に注力しました。1961年（昭和36年）には「日本における衛星都市の研究」という論文で、母校である東京文理科大学から理学博士の学位を取得しました。この研究は、大都市周辺部に発展する衛星都市の構造や機能に関する先駆的なものでした。

1972年（昭和47年）には東京学芸大学の教授に就任し、教育と研究の双方で中心的な役割を果たしました。また、1973年（昭和48年）から1979年（昭和54年）にかけては、東京学芸大学附属小金井中学校の校長を兼任し、中等教育の現場においてもリーダーシップを発揮しました。

1980年（昭和55年）に東京学芸大学を定年退官し、名誉教授の称号を得ました。その後も研究・教育活動から離れることなく、獨協大学の教授を務めたほか、獨協中学校・高等学校の校長、さらには獨協学園の理事としても教育機関の運営に携わりました。1990年（平成2年）に獨協学園での全ての役職を退き、教育・研究の第一線から身を引きました。

長年にわたり、都市地理学の研究とその教育に情熱を注ぎ、多くの業績を残しました。特に、日本の都市構造、大都市圏の変容、衛星都市の発展などに関する研究は、その後の都市地理学研究に大きな影響を与えました。また、教育者として多くの後進を育成した功績も大きいといえます。

2005年7月26日、肺炎のため永眠しました。享年88歳でした。

主な著書

山鹿誠次氏の主な単著には、都市地理学の基礎から専門的な研究まで幅広いテーマが含まれています。

『衣料資源と紡織工業』（金星堂、1950年）
『都市調査法』（古今書院、1963年）
『都市地理学』（大明堂、1964年）
『東京大都市圏の研究』（大明堂、1967年）
『都市近郊 武蔵野の変容』（古今書院、1969年）
『都市の研究と診断』（大明堂、1973年）
『地理と教育』（大明堂、1977年）
『変動する都市』（東京書籍、1979年）
『日本の大都市圏』（大明堂、1984年）
『江戸から東京そして今 地域研究への招待』（大明堂、1993年）

主な共編著

単著のほかにも、地理教育や地域研究に関する共編著が多数あります。

『日本・世界地理図説』（尾崎乕四郎共著、岩崎書店、1954年）
『教師のための地理講座』（尾崎乕四郎共著、岩崎書店、1956年）
『東京と近郊 その地理的散歩』（編著、古今書院、1965年）
『都市発展の理論』（編、明玄書房、1965年）
『現代地理教育講座』（矢嶋仁吉、位野木寿一共編、古今書院、1972-1977年）

これらの著作は、都市地理学や地理教育の発展に寄与するとともに、多くの学生や研究者、教育者に学びの機会を提供しました。

• ---

参考文献

山鹿誠次先生略歴（学芸地理 1980年）
* 犬井正「山鹿誠次先生を偲ぶ」（学芸地理 2005年）

もう一度検索