山麓緩斜面

山麓緩斜面の概要

山麓緩斜面（さんろくかんしゃめん、英: pediment）は、基盤岩が緩やかな傾斜を持つ地形で、特に乾燥地帯において形成される特徴的な風景です。斜面の傾斜は一般的に0.5°から7°の範囲であり、これは侵食作用によって自然に生まれたものです。これらの斜面は、山が侵食を受けなくなった場合でも、その形状を維持することがあり、そこに独自の生態系も生まれることがあります。

形成過程

山麓緩斜面は、主に斜面や断崖が後退する過程で形成されます。特に強い雨が降った際には、地表面を流れる層流が、岩盤を浸食することでその形を変えます。このような侵食作用により、河川が表面に堆積した礫や砂が洗い流され、段階的に緩やかな斜面が形成されるのです。

山麓の地形は、しばしば凹型を呈し、緩やかな勾配が特徴的です。この地形は扇状地によく似ていますが、注意が必要です。扇状地は河川からの堆積物によって形成されるのに対し、山麓緩斜面は主に岩盤の侵食によって成り立っています。

3つの領域

山麓緩斜面は、以下のように3つの主要な領域に分けることができます。
1. 基盤領域 - 山に最も近い部分で、ここは垂直的な侵食を受けることが少ない。
2. 中間領域（侵食領域、degradation zone）- この地域では岩盤が削られており、侵食が進行しています。
3. 堆積領域 - 外側に広がる領域で、ここでは土砂が堆積し、地表面が変化していきます。

これらの領域が広がり合体すると、「ペディプレーン」という地形になります。

侵食のメカニズム

山麓緩斜面における侵食プロセスは、いくつかの方法で進行します。まず、ストリームによる側方平坦化が見られます。層流や層侵食もまた、広い緩斜面の表面を削り取る作用を持っています。また、リルウォッシュと呼ばれる不均一な土壌流出も、細かな流路を形成することで侵食を促進します。さらに、風化作用による山体後退が、長いスパンで見ると重要な要素となります。

歴史的背景

山麓緩斜面という用語は、1877年にグローブ・カール・ギルバートによって提唱されました。彼はユタ州のヘンリー山脈においてこの地形を発見し、「丘の平準化作用が傾いた地盤の上に向いたへりを切り取った」と述べています。ギルバートは、この地形が河川による砂漠の侵食によって形成されたものであると考え、これを支持する研究者も現れました。特に、Paige（1912年）、Blackwelder（1931年）、Johnson（1932年）などが彼の説を支持し、ジョンソンは先に述べた3つの領域についての考えを整理しました。

山麓緩斜面は、その独特の地形と形成過程により、地理学や自然環境についての重要な研究対象となっています。

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