山﨑要一

山﨑 要一（やまさき よういち、1957年5月11日生）は、日本の学術界において、歯科医師および歯学者として重要な位置を占める人物です。特に小児歯科学を専門とし、現在、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科の健康科学専攻、発生発達成育学講座における小児歯科学分野で教授の任にあたっています。

その経歴は、1983年に九州大学を卒業したことから始まります。その後、同大学の大学院に進学し、1987年に単位取得満期退学しました。大学院修了後は、母校である九州大学で助手、そして講師として勤務し、教育と研究のキャリアを積みました。2003年からは現在の鹿児島大学の教授として、後進の指導と研究活動に専念しています。学術的な功績としては、1989年に九州大学から歯学博士の学位を取得しています。彼の博士論文のテーマは「セルスポットを応用した下顎多点運動解析システムの開発と乳歯列期小児の側方滑走運動に関する研究」であり、これは子どもの顎の動きを精密に解析する技術開発とその臨床応用に関する先駆的な研究であったことを示しています。

研究活動と並行して、山﨑要一氏は多数の著作にも関わっており、その成果を広く社会に還元しています。彼は単著、共著、編著、分担執筆といった様々な形で書籍を世に送り出しており、その内容は子どもの歯と口の健康に関する一般向けの啓発書から、歯科専門家向けの高度な教科書まで多岐にわたります。例えば、『歯と口の健康百科』や『子どものための歯と口の健康づくり』といった、家族や保護者が必要とする実践的な情報をまとめた書籍に携わる一方、『小児歯科学』の改訂版においては、頭蓋や顎の発育、口腔機能の発達、咬合誘導といった専門性の高い章の執筆を担当しています。また、『乳幼児の口と歯の健診ガイド』や、成育医療の視点から小児歯科を論じた『小児歯科は成育医療へ』といった編著にも名を連ねており、これらの著作を通じて、子どもの成長発達における口腔機能の重要性や、小児歯科医療のあり方について、幅広い層に知識を伝えています。

学会活動においても、山﨑氏は非常に精力的に活動しています。特に、日本小児歯科学会においては、かつて理事長の重責を担い、同学会の発展と小児歯科医療の向上に大きく貢献しました。また、同学会における指導医や専門医としても認定されており、高度な知識と技術を持つ専門家として後進の育成にも力を注いでいます。日本顎口腔機能学会では常務理事として学会運営の中心的な役割を担い、さらに第36回大会の大会長を務めるなど、同学問分野の発展にも貢献しています。このほか、日本歯科医学会の評議員を務めるほか、日本顎関節学会の指導医、日本矯正歯科学会、日本障害者歯科学会、日本小児口腔外科学会など、関連する多数の学会に所属し、活発な研究発表や情報交換を行っています。地域医療への貢献としては、鹿児島県小児保健学会の副会長や、こども医療ネットワークの理事、成育歯科医療研究会の副会長・常務理事といった役職も務めており、地域の子どもの健康増進や医療連携の強化にも尽力しています。国際的な活動としては、国際歯科研究学会議にも参加しており、世界の研究者との交流を通じて、最新の知見を取り入れ、自身の研究に活かしています。

山﨑要一氏は、長年にわたり歯科医療、特に小児歯科学の分野において、教育、研究、臨床、そして学会活動と多方面で顕著な業績を上げてきました。子どもの歯と口の健康を守り育てることの重要性を啓発し、専門家向けの教育・研究を推進することで、日本の小児歯科医療の質の向上に大きく貢献している人物であると言えます。

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