岐阜市岐南町組合立厚八中学校

岐阜市岐南町組合立厚八中学校

岐阜県羽島郡岐南町にかつて存在した公立中学校、それが岐阜市岐南町組合立厚八中学校（ぎふしぎなんちょうくみあいりつ こうはちちゅうがっこう）です。

概要

この中学校は、その名称が示す通り、岐阜市と羽島郡岐南町の二つの自治体が共同で運営する組合立の学校でした。学校の学区は、当時の岐阜市の一部（かつての稲葉郡厚見村にあたる地域）と、岐南町の一部（かつての羽島郡八剣村にあたる地域）にまたがっており、岐阜市立厚見小学校や岐南町立西小学校（当時は八剣村立八剣小学校など）の卒業生たちがこの学校へ進学しました。

学校の存続期間中、生徒数は増加の一途をたどりましたが、それに伴い教室の不足が深刻化しました。さらに、学校の敷地に隣接する境川の改修工事が計画され、校地の一部が失われることが決定したことも、学校の将来に影響を与えました。これらの要因から、厚八中学校は学校再編の対象となり、昭和48年（1973年）3月31日をもって廃校となりました。廃校に際して、生徒は新たに設置・継承された岐阜市立厚見中学校と岐南町笠松町中学校組合立岐南中学校へ引き継がれる形となりました。

厚八中学校の校舎は、廃校後もしばらくの間、岐阜市立厚見中学校の校舎として利用され、昭和57年（1982年）までその役目を果たしました。その後、旧校地は整備が進められ、昭和59年（1984年）には「厚八運動場」として生まれ変わりました。現在、この運動場は岐阜市と岐南町の両自治体によって共同管理されており、地域のスポーツ活動やレクリエーションの場として広く利用されています。また、学校がかつて存在した場所の近く、岐阜県道77号岐阜環状線（旧国道21号）の新境川橋の下流約20mの地点には、厚見地区の生徒が通学する際に利用していた境川を渡るための橋が、当時の面影を残しつつ今も存在しています。

沿革

厚八中学校の歴史は、戦後まもない昭和25年（1950年）に始まりました。

昭和25年（1950年）8月15日：羽島郡八剣村にあった八剣村立八剣中学校と、稲葉郡厚見村および茜部村による厚見村茜部村組合立厚茜中学校が統合され、新たに「厚見村茜部村八剣村組合立厚八中学校」として開校しました。当初は統一された校舎がなく、旧八剣中学校の校舎を「八剣教室」、厚見小学校内に「厚見教室」、茜部小学校内に「茜部教室」をそれぞれ設置し、分散授業を行っていました。
昭和25年（1950年）8月20日：茜部村が岐阜市に編入されたことに伴い、旧茜部村の生徒は岐阜市立加納中学校へ転校しました。これを受けて茜部教室は廃止され、学校名も「厚見村八剣村組合立厚八中学校」と改称されました。
昭和27年（1952年）4月25日：厚見村と八剣村の境界にあたる現在地（当時の稲葉郡厚見村上川手）に待望の統一校舎が完成しました。これにより、分散していた八剣教室と厚見教室は廃止され、生徒たちは新しい学び舎に集うこととなりました。
昭和30年（1955年）2月11日：厚見村が岐阜市に編入されたため、学校名は「岐阜市八剣村組合立厚八中学校」へと再び変更されました。
昭和31年（1956年）9月26日：八剣村と上羽栗村が合併して岐南村が誕生し、同年10月1日には町制が施行され岐南町となりました。この自治体再編に伴い、学校の正式名称は「岐阜市岐南町中学校組合立厚八中学校」となり、廃校までこの名称が使われました。
昭和34年（1959年）3月27日：図書館が完成し、学習環境が充実しました。
昭和35年（1960年）10月5日：特別教室が完成しました。
昭和36年（1961年）5月10日：南舎（木造2階建）が完成し、教室不足の解消が進みました。
昭和39年（1964年）5月4日：体育館が完成し、体育活動や集会などの場が確保されました。
昭和42年（1967年）7月5日：プールが完成し、水泳授業が可能となりました。
昭和46年（1971年）3月15日：南々舎が完成し、さらなる教室の拡充が行われました。
昭和48年（1973年）3月31日：生徒数の増加、境川改修工事などにより、岐阜市立厚見中学校と岐南町笠松町中学校組合立岐南中学校に分割される形で廃校となりました。

厚八中学校は短い期間ではありましたが、岐阜市と岐南町にまたがる地域の教育に重要な役割を果たしました。その歴史は廃校によって閉じられましたが、跡地が現在も両市町の共同利用施設として地域に貢献しており、境川に残る通学橋なども含め、学校の記憶は今も地域の中で受け継がれています。

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