岡屋関白記

岡屋関白記（おかのやかんぱくき）は、鎌倉時代の公卿、関白を務めた近衛兼経によって記された日記です。日記の名前は、兼経が晩年を過ごした宇治の別業、「岡屋殿（おかのやどの）」に由来します。

現存している岡屋関白記は、残念ながら原本の全てではありません。散逸が激しく、貞応元年（1222年）から建長3年（1251年）までの約30年間の記録のうち、ごく一部が現存するのみとなっています。

特に貴重なのは、兼経自筆の写本です。これは陽明文庫に所蔵されており、建長元年（1249年）春の記述部分が現存しています。当時の宮廷の様子や、兼経自身の考えを知る上で、非常に重要な資料となっています。

また、貞永元年（1232年）冬の記述は、後堀河天皇の譲位に関する記述が含まれていることで知られています。天皇の譲位という、政治的に重要な出来事について、当時の関白であった兼経がどのように考えていたのかを知ることができる、貴重な情報源です。

岡屋関白記は、鎌倉時代中期の公家社会、特に摂関家の生活や政治活動を知る上で、欠かすことのできない史料と言えるでしょう。日記には、儀式や行事の詳細な記録、 courtier たちとの交流、政治的な意見などが記されており、当時の社会情勢や文化、人々の考え方を垣間見ることができます。

参考文献

* 東京大学史料編纂所、近衛兼経 著 『岡屋關白記』、大日本古記録、岩波書店、1988年、ISBN 4000095145

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