近衛兼経

近衛 兼経について

近衛兼経（このえ かねつね）は、鎌倉時代前期に活躍した公卿であり、近衛家の四代目当主です。彼は関白太政大臣・近衛家実の三男として生まれ、従一位・摂政・関白・太政大臣という高い官位を持ちました。通称は「岡屋関白」であり、母親については表向きには源雅頼の娘とされていますが、実際には藤原季定の娘でした。

経歴の概要

近衛兼経は貞応元年（1222年）に元服し、正五位下侍従に任じられると昇殿禁色が許可されます。この後、異母兄である左大臣・家通が急死したため、彼は後継者となり、従三位権中納言に任命されました。その後、安貞元年（1227年）には内大臣に、寛喜3年（1231年）には右大臣、嘉禎元年（1235年）には左大臣となるなど、政界での地位を固めていきました。

兼経は嘉禎3年（1237年）に九条道家の娘・仁子を妻とし、これにより長年の不和を抱えていた近衛家と九条家の和解に尽力しました。同年には道家から四条天皇の摂政の地位を譲られ、暦仁元年（1238年）には左大臣を辞任しつつも摂政としての職務を維持します。翌年には従一位に昇叙されました。

仁治元年（1240年）、四条天皇が元服する際に太政大臣としてその儀式を執り行い、その任務は元服の年が終わる翌年まで継続しました。仁治3年（1242年）には四条天皇が崩御し、後嵯峨天皇の関白へと転任しましたが、西園寺公経の圧力により、二条良実にその地位を譲ることになります。この出来事は「仁治三年の政変」として知られています。

その後、義父と共に関東申次に就任しますが、道家の失脚に伴い、兼経も影響を受けて関東申次を解任されました。しかし、彼は宝治元年（1247年）に後深草天皇の摂政として再任されました。建長4年（1252年）には異母弟の鷹司兼平に摂政の地位を譲り、正嘉元年（1257年）には出家し、法名を真理（しんり）とし余生を宇治岡屋荘で過ごしました。

系譜

近衛兼経の系譜は『尊卑分脈』（新訂増補国史大系）に記されています。彼の父は近衛家実、母は宣陽門院右衛門督とされています。主要な子女には、正室である九条仁子との間に生まれた子供たちが含まれています。特に息子の近衛基平は、1268年まで生存し、息子の信昭は興福寺別当や大覚寺門跡としても知られています。

さらに、彼には生母が不明な子女もおり、女子の衣笠経平室や近衛兼教母などが存在します。また、猶子には法印の日昭がいます。

近衛兼経は、彼の日記『岡屋関白記』の著者としても知られ、彼の生涯や当時の政治状況を記録した貴重な資料を残しました。

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