岡山潔

岡山 潔（おかやま きよし）

1942年11月9日、東京都中野区に生まれる。日本の著名なヴァイオリン奏者、また教育者としても知られる。2018年10月1日に逝去。享年75。

5歳の時、音楽教師であった父・直躬からヴァイオリンの手ほどきを受け、音楽の道を歩み始める。1961年、東京藝術大学に入学し、ヴァイオリンを兎束龍夫、ヘンリー・ホルスト、ヴィルフリート・ハンケの各氏に師事。同大学で高度な技術と深い音楽性を磨いた。

国際的な舞台を目指し、1968年にはドイツ学術交流会（DAAD）の奨学生としてハンブルク国立音楽大学へ留学。欧州の地でさらなる研鑽を積み、ヴィルフリート・ハンケ氏にヴァイオリンを、さらにエヴァ・ハウプトマン氏に室内楽を師事。国際的な視点と演奏技術を身につけた。

留学中の1970年には、ベルリンで開催されたメンデルスゾーン・コンクールの弦楽四重奏部門で優勝という輝かしい成績を収める。同年、ベルギーのブリュッセルにおいては、後に愛知県立芸術大学教授となる妻・芳子氏（旧姓：服部）と共にヴァイオリン二重奏の巨匠ウジェーヌ・イザイの作品を演奏し、その卓越した演奏に対してイザイ・メダルを授与された。

1971年にはハンブルク国立音楽大学のソリスト国家資格試験で最高位を獲得して卒業。その優れた技量と国際的な実績が認められ、ドイツの名門、ボン・ベートーヴェン管弦楽団のコンサートマスターに招聘された。この役職は、オーケストラの顔として高度な演奏能力とリーダーシップが求められる重要なポストである。

13年間に及ぶドイツでの輝かしい活動を経て、1984年に帰国。この年、長年にわたる功績に対し、ドイツ政府より功労十字勲章が贈られている。帰国後、日本を代表するオーケストラの一つである読売日本交響楽団の第一コンサートマスターに就任。1991年までの7年間にわたり、オーケストラの要として重責を担った。

読売日本交響楽団での活動と並行し、1990年からは母校である東京藝術大学の教授として教鞭を執る。数多くの後進の育成に尽力し、日本の音楽教育界にも貢献した。教育活動を通じて、自身の経験や音楽観を次世代の音楽家たちに伝えた。

ソロやオーケストラでの活動に加え、室内楽分野でも精力的に活動した。1993年にはエレオノーレ弦楽四重奏団を、2008年には自身の名を冠した岡山潔弦楽四重奏団を結成。リーダーとして国内外で質の高い室内楽演奏を展開し、室内楽の普及にも貢献した。

晩年には、2013年に神戸市室内合奏団の音楽監督に就任。若手を中心としたアンサンブルの指導にあたり、その音楽性を高め、地域における音楽文化の振興にも貢献した。

2018年10月1日午前10時51分、脳腫瘍のため東京都中央区にて逝去。享年75。

受賞・栄典

1970年：メンデルスゾーン・コンクール(弦楽四重奏部門) 優勝
1970年：イザイ・メダル
1984年：ドイツ連邦共和国功労十字勲章
2018年：従四位、瑞宝小綬章（没後追贈）

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