岡本保之

岡本 保之

岡本 保之（おかもと やすゆき）は、1887年（明治20年）10月21日に京都府に生まれ、1946年（昭和21年）12月12日に没した日本の陸軍軍人です。その軍歴は明治、大正、昭和の三代にわたり、最終階級は陸軍中将でした。

軍歴の始まり

1909年（明治42年）5月、陸軍の将来を担う若き将校を育成する機関である陸軍士官学校の第21期生として卒業しました。同年12月には歩兵少尉に任官し、兵科として歩兵を選択、軍人としての第一歩を踏み出しました。

昇進と主要な役職

着実に軍人としての経験を積み重ね、1926年（大正15年）3月には歩兵少佐に進級しました。さらに1931年（昭和6年）8月には歩兵中佐に昇進し、歩兵第57連隊付として勤務しました。

1936年（昭和11年）8月、歩兵大佐に進級すると同時に、歩兵第13連隊長に任命されました。連隊長として、勃発した日中戦争の最前線に出征します。この時期、部隊を率いて保定会戦、石家荘会戦、南京戦、武漢作戦など、中国大陸における主要な戦役に参加しました。これらの激戦地で指揮官としての経験を積みました。

1939年（昭和14年）3月には陸軍少将に進級し、後方の重要拠点である陸軍予備士官学校の校長に転じました。士官候補生の教育に携わった後、1940年（昭和15年）8月には満州へ赴任し、国境地帯の防衛を担う第1国境守備隊長を務めました。満州国境での任務は、対ソ連を意識した重要なものでした。

中将昇進と師団長任務

太平洋戦争が進行する中の1942年（昭和17年）4月、陸軍中将に進級しました。同時に日本本土の部隊である留守第51師団長に就任しました。翌1943年（昭和18年）2月には、新たに中国戦線に派遣される第36師団長に親補され、再び前線での指揮を執ることとなりました。しかし、その年の10月には参謀本部付となり、中国大陸から一時帰国しました。

1944年（昭和19年）1月、新たに編成された第10師団長に発令され、満州の佳木斯に駐屯しました。しかし戦局の変化に伴い、同師団は南方戦線への転用が決定されます。フィリピン防衛のためルソン島へ派遣され、米軍との激しい戦闘に巻き込まれました。岡本中将はルソン島の戦いにおいて第10師団長として終戦を迎えました。

栄典と晩年

その軍人としての功績に対し、岡本保之はいくつかの勲章を授与されています。若い頃の1916年（大正5年）5月26日には勲六等瑞宝章を受章。1926年（大正15年）11月29日には勲四等瑞宝章と、順次上位の勲章を得ました。国家的な祝典である1940年（昭和15年）8月15日には紀元二千六百年祝典記念章を授与されています。そして、終戦が近づく1944年（昭和19年）3月7日には、武官にとって最高の栄誉の一つである勲一等瑞宝章を受章しました。

波乱に満ちた軍人生活を送り、終戦をルソン島で迎えた後、1946年（昭和21年）12月12日にこの世を去りました。彼の生涯は、明治から昭和にかけての日本の軍事史と深く関わるものでした。

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