岡本禅哲

岡本禅哲：佐竹氏を支えた外交僧

岡本禅哲（おかもと ぜんてつ）は、生年不詳ながら天正11年11月11日（1583年12月24日）に没したとされる、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将です。常陸国の戦国大名である佐竹氏の家臣として活躍しました。父は岡本曾端（曾瑞）、妻は小山秀綱の娘であり、子に岡本顕逸（良逸）と娘がいます。梅江斎・竹閑斎・慕叟庵と号し、代々、又太郎と称しました。

家系と佐竹氏への仕官

禅哲の岡本氏は、元々は岩城氏の家臣でしたが、祖父である岡本妙誉の代から佐竹氏に仕えるようになりました。禅哲自身は僧籍にありながら、佐竹義篤・佐竹義昭・佐竹義重の三代に仕え、その才能を発揮しました。娘を佐竹氏一族に嫁がせたこともあり、一門衆に準じた扱いを受けていたとされています。

外交官としての活躍

父の曾端と同様に、禅哲は佐竹氏の外交面で重要な役割を果たしました。時には主君に代わって公的な文書を発給するなど、その外交手腕は高く評価されています。

文化人としての側面

禅哲は和歌の達人としても知られ、高い教養を持っていました。室町幕府十五代将軍の足利義昭や、歌人として名高い細川幽斎とも交流があったことからも、その文化的素養の高さが伺えます。

岡本氏の系譜

岡本氏は、藤原秀郷を祖とする由緒ある家系です。以下に系図を記します。

藤原秀郷
小山政光
朝政
小山四郎左衛門朝長（尊卑分脈本では長朝）
出羽守長村
時長
宗長
貞朝
親元（岡本又次郎または岡本又太郎、靫負尉 - 門部、岡本氏祖）
孫太郎祐親
又次郎隆親
掃部助重弘（三郎四郎隆弘）
淡路守隆貞（助太郎・介太郎）
大炊介隆光
道活法師（竹清庵と号す）
妙覚法師（妙誉、竹隠軒・芳叟庵と号す）
曾端法師（曾瑞、松庵・掬月斎（掬月軒）・月叟庵と号す）
又太郎禅哲（梅江斎（梅香斎）・慕叟庵（幕叟庵は誤り）・竹閑斎と号す）
良哲（顕逸、良逸とも、号は好雪斎・禅有庵・菊庵・好雲斎か）
宣綱（如哲・通称蔵人、のちに如庵と号す、佐竹義宣に従い、秋田藩へ赴く）
蔵人元弘
親元
元朝
元貞

宣綱の代に国替えがあり、出羽へ移ったとされています。

参考文献

雅晴, 今井『一遍と中世の時衆』大蔵出版、2000年、302頁。ISBN 978-4-80431-049-7。
『戦国人名辞典』吉川弘文館、2006年、1169頁。ISBN 978-4-64201-348-2。
亮, 太田『姓氏家系大辞典 第1巻』国立国会図書館デジタルコレクション、443頁。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1123818/443。2020年11月23日閲覧。
土居輝雄『佐竹史探訪』秋田魁新報社、1997年。
* 秋田県公文書館編『系図目録2』

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