岡村不卜

岡村不卜（おかむら ふぼく、生年未詳 - 元禄4年4月9日（1691年5月6日））は、江戸時代に活躍した俳諧師です。岡村氏を名乗り、通称は重兵衛、または市郎右衛門。一柳軒という別号も持っていました。彼は安原貞室の門下であり、大津俳人として知られる不卜（原是三）とは別人です。

来歴

岡村不卜の俳諧師としての足跡は、『日本古典文学大辞典』第5巻に詳しく記されています。

石田未得の門下に入り、万治2年（1659年）に刊行された『捨子集』に作品が収録された後、約30年間にわたり江戸俳壇でその才能を発揮しました。延宝6年（1678年）には、自ら編集した『江戸広小路』を刊行し、松尾芭蕉の発句や付句を多数収録しています。このことは、当時の俳壇における彼の存在感を示すものでしょう。さらに、延宝8年（1680年）には『向之岡』を刊行しています。

貞享3年（1686年）には、『丙寅之歳旦』という俳諧の会を催し、草壁挙白、壺斎、本間自準、鈴木清風といった著名な俳人を招きました。また、松尾芭蕉の門人たちによる『丙寅初懐紙』（宝井其角編）や『蛙合』（仙北編）にも、自身の門弟とともに参加しています。貞享4年（1687年）には、月並五句付興行に柳川琴風や立羽不角といった俳人と共に参加しました。貞享5年（1688年）には『続の原』を刊行しています。

晩年は前句付に深く関わったとされ、俳諧の世界にその足跡を残しました。享年は60余歳と伝えられています。

岡村不卜は、江戸時代の俳諧文化において、重要な役割を果たした俳人の一人と言えるでしょう。彼の作品や活動は、当時の俳諧の流行や俳人たちの交流を知る上で貴重な資料となっています。

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