石田未得

石田未得（いしだ みとく）は、天正15年（1587年）に生まれ、寛文9年（1669年）に没した江戸時代の狂歌師・俳諧師です。通称は又左衛門、巽庵や乾堂といった別号も用いました。彼は、貞門派の俳諧における江戸五哲の一人として知られています。

未得の30代までの記録はほとんど残されていません。元々は常盤橋前で両替商を営んでいましたが、何らかの事情により蟄居し、出家して「未得」と名乗るようになったと伝えられています。寛永年間より松永貞徳に師事し、俳諧を学びました。正保4年（1647年）に刊行された『毛吹草』をはじめとする多くの書籍に作品が収録され、初期江戸俳壇の重要な人物として活躍しました。

未得は、物の名前を句に織り込んだり、回文俳諧を作ったりするなど、言葉遊びを巧みに取り入れた句を多く詠みました。特に、回文俳諧は当時の人々に大きな影響を与え、回文ブームを巻き起こしました。慶安2年（1649年）には、『古今和歌集』を模した狂歌集『吾吟我集』を刊行し、狂歌家集の先駆けとなりました。

彼の死後、息子の未琢によって遺稿集『ひともと草』（寛文11年（1671年））が刊行され、その作品は後世に伝えられました。

主な作品

『廻文俳諧百韻』
『狂歌集要』
『吾吟我集』（1649年）
『和句解』
『謡誹諧』（松永貞徳点、1635年）
『御点取俳諧百類集』（義概編、高島玄札・石田未得・野々村立圃点、1659年）

石田未得は、俳諧と狂歌の世界において、独自の才能を発揮し、江戸時代の文芸に大きな足跡を残した人物と言えるでしょう。

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