岡田希雄

岡田希雄について

岡田希雄（おかだ きゆう、1898年3月15日 - 1943年1月31日）は、日本の国語学者、国文学者、および辞書学者として知られています。彼の学問に対する真摯な姿勢と徹底的な研究が評価され、国語学界における重要な存在となりました。

生い立ちと教育

岡田は京都府の葛野郡七条村に、服部家の次男として生まれました。彼は3歳の時に父を、5歳で母を亡くし、その後、曹洞宗の僧侶である岡田希僊に引き取られました。1910年に養子として入籍し、その後の1911年には僧籍に登録され、名前を「希雄」に改めました。

彼は1921年に京都帝国大学文学部を卒業すると、そのまま大学院に進み、さらなる学問を追求しました。その後、立命館大学で教鞭を執り、1941年には教授に昇進しました。しかし、1942年に病により休職し、1943年に生涯を閉じました。法名は東岳希雄大和尚です。

研究と業績

岡田の研究は、特に実証主義的なアプローチが特徴です。彼は、国語学の幅広い分野にわたって研究を行い、その中でも和歌や説話、日本語の音韻や語彙についての考証が顕著です。特に『和名類聚抄』や『類聚名義抄』といった古辞書に関する研究は、「辞書史研究に新たな境地を開いた」と評価されています。

彼の研究スタイルは、論証過程を省略せず、思考の経緯を繊細に記録するものでした。この姿勢から、彼の論文に対して「書き過ぎ」との批判もありましたが、彼の学問に対する姿勢は一貫していました。岡田は自らの研究を通じて、国語学界に大きな影響を与えました。

著書と遺産

岡田は生前に著書を一冊も出版していませんでした。これは、喜田貞吉の「雑誌論文であれば訂正ができるが、著書は正誤が難しい」という考え方に従ったためです。しかし、彼の研究は多くの論文として発表され、没後にいくつかの著作が整理され出版されました。代表的な著作には、『類聚名義抄の研究』や『新譯華厳経音義私記倭訓攷』などがあり、これらは彼の研究の幅広い成果を表しています。

人物像

岡田希雄は自他ともに認める酒好きであり、旅行を愛した人でもありました。彼は、晩酌を楽しみ、花見の際も酒を持参して楽しんでいたとのことです。また、猫好きとしても知られ、研究の合間には旅行をして資料を求める姿勢がありました。彼の蔵書は1200余点にも及び、古書を愛し、収集することに情熱を注いでいました。

彼の遺した蔵書は後に国立国会図書館に整理され、「岡田文庫」として広く利用されています。これは、彼の学問的な影響力がどれほど大きかったかを示す一つの表れと言えるでしょう。

結論

岡田希雄は、日本の国語学の発展に寄与した偉大な学者であり、その業績は今なお多くの研究者に影響を与えています。彼の徹底した実証的な研究と、古辞書に対する深い考察は、国語学の分野で長く語り継がれることでしょう。

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