岡田美術館

岡田美術館：箱根に輝く東洋と日本の至宝

神奈川県足柄下郡箱根町に位置する岡田美術館は、実業家である岡田和生氏（ユニバーサルエンターテインメント創業者）が70億円を投じて設立した私設美術館です。2013年10月4日に開館し、以来、東洋と日本の美術を愛する人々を魅了し続けています。

圧巻のコレクション：東洋美術の粋と日本画の華

岡田美術館の最大の特徴は、その充実したコレクションにあります。古代から現代にいたるまで、中国、韓国、そして日本の陶磁器、絵画、工芸品など、多岐にわたる作品が所蔵されています。特に、近世から近代にかけての日本画は、質・量ともに他に類を見ない規模を誇ります。

岡田和生氏の収集活動のきっかけは、「雪松群禽図屏風」との出会いだったと言われています。美術への情熱から始まったコレクションは、やがてこの美術館の設立へと発展していきました。

美術館の建築と魅力的な空間

美術館は明治時代のホテル「開化亭」跡地に建てられた5階建ての建物で、箱根の美術館の中でも屈指の広さを誇ります。正面には、福井江太郎による巨大な壁画「風・刻（とき）」が来館者を迎えます。640枚もの金地パネルに描かれた風神雷神図は、美術館の象徴となっています。また、美術館の正面には足湯カフェが併設されており、訪れた人々は、雄大な自然と美術作品を心ゆくまで堪能できます。

忘れられた名作との再会：メディアを賑わせた発見の数々

岡田美術館は、数々の忘れられた名作を世に送り出したことでも知られています。例えば、1948年以降所在不明となっていた喜多川歌麿の肉筆大作「深川の雪」は、2012年に発見され、2014年に当館で66年ぶりに一般公開されました。また、83年間も行方が分からなかった伊藤若冲の「孔雀鳳凰図」も、2015年に発見され、2016年に一般公開されました。これらの発見は、メディアでも大きく取り上げられ、美術館の知名度を飛躍的に高めました。

将棋界との連携：女流名人戦の舞台

2015年からは、将棋の女流名人戦の冠スポンサーとなり、「岡田美術館杯女流名人戦」として開催されています。五番勝負第1局の対局場としても利用されており、美術と将棋という異なる文化の融合が見られるユニークな取り組みとなっています。

美術館運営と訴訟

館長は小林忠氏、副館長は2018年まで古美術商の寺元晴一郎氏が務めていました。寺元氏は岡田氏の長年の友人であり、「深川の雪」の発見者でもあります。しかし、2017年には美術品購入資金を巡り、ユニバーサルエンターテインメントの香港子会社が香港高等法院に訴訟を起こすという事態も発生しました。原告側は、美術品購入代金として寺元副館長に支払われた10億円の調達に不正があったとして、岡田氏らに賠償を求めています。

展示作品：国宝・重要文化財から琳派作品まで

岡田美術館には、数多くの貴重な作品が展示されています。重要文化財に指定されている「木造薬師如来坐像」、「色絵輪宝羯磨文香炉」、「色絵竜田川文透彫反鉢」、「虫魚帖」などのほか、重要美術品にも指定されている作品が多数あります。また、尾形光琳、伊藤若冲、狩野元信、葛飾北斎、喜多川歌麿など、日本美術史に名を刻む巨匠たちの作品も数多く所蔵しており、琳派作品のコレクションも充実しています。

これらの作品は、単に鑑賞するだけでなく、日本の美術史や文化を深く理解するための貴重な資料となっています。

まとめ：箱根の新たな観光名所として

岡田美術館は、その充実したコレクション、そして数々のドラマチックなエピソードによって、箱根を代表する観光名所へと成長しました。美術愛好家だけでなく、多くの人々にとって魅力的な空間となっています。今後ますますの活躍が期待されます。

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