岡田重精

岡田重精：日本の宗教学における泰斗

岡田重精（1920年3月15日 - 2013年8月11日）は、日本の宗教学者であり、特に神道学の研究において顕著な業績を残しました。彼は学校法人皇學館大学の理事長を務め、退任後は名誉教授として後進の指導にあたりました。彼の研究は、日本人の精神文化の根底にある信仰に深く根ざしており、その学術的貢献は高く評価されています。

生涯と学問

高知県に生まれた岡田は、1943年に神宮皇學館大學専門部を卒業後、兵役を経て東北帝国大学（現東北大学）に進学。1949年に卒業後、同大学の助手となります。その後、研究員、宮城県工業高等学校教諭などを経て、1966年に皇學館女子短期大学助教授として教鞭を執り始めました。1975年には皇學館大学教授に就任し、神道研究所長、学生部長、文学部長などを歴任。北京大学やハワイ大学など、海外の大学でも招聘講義を行うなど、国際的な視野も持っていました。1993年に皇學館大学を定年退職し、名誉教授となりました。退職後も学校法人皇學館大学の常任理事、理事長（1998年 - 2001年）を歴任し、2008年まで同顧問を務めました。

研究内容

岡田の専門分野は、宗教人類学と神道学でした。初期にはタブーに関する研究に取り組みましたが、皇學館大学に着任してからは、日本古代宗教、とりわけその基礎信仰である「イミ」（斎忌）を対象とし、その意味や機構、変容について研究を進めました。「イミ」とは、神聖なものに触れる際に避けるべき行為や状態を指し、日本人の生活や文化に深く根ざした概念です。岡田は、「イミ」がケガレ（穢れ）とも密接に関連していることを指摘し、その研究成果は高く評価されました。

著書

岡田は数多くの著書を著しており、その研究成果は広く公開されています。代表的な著書としては、以下のようなものがあります。

『信仰と人生』（皇學館大学出版部、1968年）
『古代の斎忌(イミ)－日本人の基層信仰－』（国書刊行会、1982年）
『斎忌の世界－その機構と変容－』（国書刊行会、1989年）
『宗教学概説』（杉山書店、1992年）
『日本宗教への視角』（東方出版、1994年）
『日本の(カミ)神－原初・古代と現代』（皇學館大学出版部、2009年）

これらの著書は、岡田の研究内容を深く理解するための貴重な資料であり、神道学や日本文化に関心のある人々にとって必読の書と言えるでしょう。また、B・エアハート著『日本宗教の世界 一つの聖なる道』の翻訳も手がけるなど、海外の研究成果の紹介にも尽力しました。

岡田重精は、日本の宗教学、特に神道学の分野において、多大な貢献をした人物として、その名が永く記憶されることでしょう。

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