岡部隆景

岡部隆景（おかべ たかかげ）

岡部隆景は、戦国時代の武将であり、大内氏の家臣として知られています。祖父は岡部武景、父は岡部興景という家系に生まれました。

略歴

岡部隆景は、大内氏の譜代家臣である岡部興景（讃岐守）の嫡男として生を受けました。天文15年（1546年）4月5日には、父・興景から家督を相続し、長門国美祢郡岩永を領地として治めることになります。天文19年（1550年）7月21日には、従五位下に叙位され、右衛門大夫と称しました。

大内家の命令により、父の岡部興景と共に、岡部家の本名である小野を名乗っていた時期があります。これは、当時の武士が主君の命によって名字を変えることがあったことを示しています。

天文20年（1551年）に起こった大寧寺の変において、岡部隆景は主君・大内義隆に最後まで忠義を尽くし、奮戦しましたが、ついに討ち死にを遂げました。この戦いでの彼の行動は、忠義を重んじる武士の鑑として語り継がれています。

その壮絶な最期の直前、彼は辞世の句として、以下の和歌を遺しています。

露とぞ消えるけふの名残にはただ吹き送る松風の音

この和歌は、滅亡が決定的となった大内家の状況と、自身の命が今まさに消えようとしている状況を儚くも表現したものです。現代語訳すると、「大内家の敗北は決定的となり、私も露のように消えていくばかりだ。浜辺には日が暮れようとしているが、聞こえてくるのは松を吹き抜ける風の音だけだ」となります。この歌からは、隆景の諦念と、それでもなお主君に殉じようとする強い意志が感じられます。

関連作品

岡部隆景を題材とした作品として、以下があります。

『毛利元就』（1997年、NHK大河ドラマ、演：大久保了）

参考文献

近藤清石『大内氏實録』中元壮作、宮川臣吉、山口県山口町、1885年10月28日。 NCID BA33800345。 NDLJP:780384
* 岡部忠夫編『萩藩諸家系譜』（マツノ書店、1999年復刻）

岡部隆景は、大内氏の滅亡とともに散った悲劇の武将として、その名が歴史に刻まれています。彼の忠義と、辞世の句に込められた感情は、今もなお多くの人々の心を揺さぶります。

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