岩下光男

岩下 光男（いわした みつお）

日本の工学者（海洋工学）、岩下 光男氏は、1917年（大正6年）8月19日に北海道山越郡長万部町に生まれ、2002年（平成14年）4月13日に84歳で逝去しました。特に魚群探知機の改良型開発という顕著な業績で知られ、日本の海洋科学および教育の発展に長きにわたり貢献しました。

経歴

岩下氏の学究人生は、1936年（昭和11年）に東京電機学校電気科を卒業したことから始まります。卒業後、同年中に東北帝国大学電気通信研究所の助手としてキャリアをスタートさせ、黎明期の電気通信分野の研究に携わりました。

戦後の1946年（昭和21年）には電波科学専門学校の助教授に就任し、教育者としての第一歩を踏み出します。1950年（昭和25年）4月には東海大学工学部の助教授となり、以降、同大学を舞台に重要な役割を担うことになります。1959年（昭和34年）には同工学部の教授に昇任。さらに1962年には、新たに開設された海洋学部の教授となり、専門を海洋工学に据えて研究と教育に深く関わることになります。1974年（昭和49年）には同海洋学部の学部長に就任し、学部運営の要職を務めました。1976年（昭和51年）には同海洋研究所長も兼任し、研究活動を牽引。その後、同大学付属の海洋科学博物館長も務めるなど、多岐にわたる立場で東海大学における海洋科学分野の振興に尽力しました。

1985年（昭和60年）からは、北海道東海大学工学部の教授として新たな地で教育・研究活動を展開。翌1986年（昭和61年）には同学長補佐に就任し、大学経営の中枢にも関わりました。1991年（平成3年）に北海道東海大学を退職。長年の学術・教育への貢献が認められ、東海大学名誉教授の称号が贈られました。

その他の活動

岩下氏は大学での職務の傍ら、公的な活動にも積極的に参加しました。北海道庁の北海道地区将来計画委員や、資源エネルギー庁の環境審査顧問などを歴任し、社会の発展に提言を行いました。また、自身の名を冠した私塾「自由時間村・岩下塾」を主宰するなど、アカデミックな枠を超えた幅広い活動を展開しました。

主な業績と栄誉

岩下氏の最も知られた業績は、漁業の効率化に不可欠な魚群探知機の改良開発です。この分野における先駆的な研究は、日本の水産業技術の進歩に大きく貢献しました。その功績は早くから認められ、1943年（昭和18年）には電気通信学会秋山志田賞を受賞しています。

また、長年にわたる教育研究への尽力と学術振興への貢献に対して、1992年（平成4年）には勲三等旭日中綬章を受章しています。

2002年4月13日、岩下氏は骨髄異形成症候群のため、84歳でその生涯を閉じました。

著作

岩下氏の主な著作には、監修を務めた以下の書籍があります。

『海 : その神秘と未来』（東海大学出版会、1974年）
『これが特許の実力か!畠中水溶性キトサンの常識』（産学社、2001年）

参考文献

本項目の記述にあたっては、主に以下の資料が参考にされています。

* 『北海道人物・人材情報リスト2004　あ－お』（日外アソシエーツ編集・発行、2003年）

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