岩井勝次郎

岩井勝次郎：岩井財閥の創始者

岩井勝次郎（1863年5月28日 - 1935年12月21日）は、京都府出身の実業家であり、岩井商店の創業者として知られています。彼の卓越した経営手腕により、岩井商店は多角的な事業展開を遂げ、一大財閥へと発展しました。

生い立ちと岩井商店創業

勝次郎は、文久3年（1863年）に京都府南桑田郡旭村（現在の南丹市）の農家に、蔭山姓で生まれました。明治8年（1875年）、従兄である岩井文助が経営する大阪の唐物問屋・加賀屋に奉公に出ます。明治22年（1889年）には、文助の長女・栄子と結婚し、岩井姓を名乗るようになりました。これにより、加賀屋は文助と勝次郎の共同経営体制となります。

しかし、事業に対する考え方の違いから、明治29年（1896年）に勝次郎は独立を決意し、大阪市中央区南久太郎町に岩井商店を設立しました。これが、後の岩井財閥の始まりです。岩井商店は大正元年（1912年）に株式会社岩井商店となり、昭和18年（1943年）には岩井産業株式會社と改称。その後、日商と合併し、日商岩井株式会社（現在の双日株式会社）となりました。

多角的な事業展開と財閥形成

明治後期から大正期にかけて、勝次郎は積極的に企業を設立し、事業を多角化していきました。主なものとして、関西ペイント、東亜紡織、日新製鋼、徳山曹達、大阪繊維工業（現ダイセル）などが挙げられます。これらの企業は、当時の日本の産業革命を牽引し、経済発展に大きく貢献しました。大正5年（1916年）には、岩井財閥の持株会社として合資会社岩井本店を設立し、関西経済界における確固たる地位を確立しました。

岩井家の系譜

岩井家は代々、婿養子を迎えることが多く、勝次郎自身も蔭山家から岩井家に入籍しました。勝次郎の長女である岩井かのの夫、岩井友次郎が勝次郎の事業を継承しました。その後も、岩井たみが岩井安次郎を婿養子に迎え、住吉村・魚崎村の財産を引き継ぎました。岩井かつは、岩井商店の創業者である岩井勝次郎から一字を取り命名されました。岩井かつが婿養子に迎えた岩井義男は、自治省警察局課長から岩井家に入り、魚崎町長や神港信用金庫（現在の日新信用金庫）の代表などを歴任しました。

岩井家の墓所は現在も魚崎墓地に存在し、岩井かつ・義男の孫にあたる古倉義彦が管理しています。

まとめ

岩井勝次郎は、時代の変化を的確に捉え、果敢な事業展開によって岩井財閥を築き上げました。彼の功績は、日本の産業史に深く刻まれています。

関連事項

住吉村 (兵庫県): 勝次郎の居住地。
旭村 (京都府): 勝次郎の出身地。
安野譲: 岩井商店の取締役として勝次郎を支えた人物。
長岡禅塾: 岩井勝次郎が支援した教育機関。

外部リンク

双日の歩み
関西ペイントの設立

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