岩元禧

岩元禧（いわもと き、1879年7月2日 - 1944年9月14日）は、日本の内務官僚であり、沖縄県知事や鹿児島市長を歴任した人物です。

鹿児島県出身の士族の四男として生まれた岩元は、第七高等学校の第一回卒業生として学んだ後、1908年に東京帝国大学法科大学独法科を卒業しました。同年には高等文官試験にも合格し、内務省に入省しました。

内務省では、千葉県属を皮切りに、秋田県事務官、神奈川県理事官・視学官、香川県警察部長、島根県内務部長、茨城県内務部長といった地方行政の要職を歴任しました。これらの経験を通じて、地方行政に関する深い知識と経験を培いました。

1923年から1924年まで沖縄県知事を務め、その後、1926年6月23日に休職満期となり退官しました。退官後は、國學院大學や皇典講究所で専務理事を務め、教育や研究分野でも活躍しました。

1933年から1936年まで、第10代鹿児島市長を務め、地方行政の経験を生かし、市政運営に尽力しました。市長在任中は、市民生活の向上や地域発展に貢献したとされています。

著書には、『皇祖発祥聖蹟』（1940年、鹿児島史談会）があります。この著書は、皇室に関する研究の一端を示すものとして、歴史研究においても貴重な資料となっています。

親族には、哲学者で夏目漱石の小説『三四郎』に登場する広田先生のモデルとなった兄の岩元禎や、逓信技師の弟、岩元禄がいます。兄弟それぞれが異なる分野で活躍したことが伺えます。

岩元禧は、内務官僚として地方行政に携わる一方で、教育や研究分野でも貢献し、多岐にわたる分野でその才能を発揮しました。彼の生涯は、日本の近代化における官僚の役割と、地域社会への貢献を考える上で重要な事例と言えるでしょう。

参考文献には、高橋英夫著の『偉大なる暗闇 師岩元禎と弟子たち』、人事興信所編の『人事興信録』、竹内理三ほか編纂の『鹿児島県姓氏家系大辞典』などがあり、彼の生涯や業績をより深く知ることができます。

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