岩坪村

岩坪村の概要と歴史

岩坪村（いわつぼそん）は、鳥取県高草郡および気高郡にかつて存在した村であり、現在の鳥取市岩坪にあたります。この村は、千代川の支流である砂見川の源流部に位置し、その豊かな自然環境によって特色ある村として知られました。村名の由来は、奥部にある小滝の滝壺が滑らかな岩に囲まれており、その形が壺のように見えることから来ています。

歴史と変遷

藩政時代には鳥取藩領の高草郡松神西郷に属し、また大庄屋の管轄は周辺の村々と同じく上構にありました。岩坪村内には岩坪神社が存在し、ここで行われる獅子舞は特に有名で、後に県指定の無形民俗文化財に認定される程の重要な文化財となりました。

特産品としては岩坪紙があり、この紙は芸州から伝わった技術によって製造されるようになりました。安永年間には藩の御用紙としても採用され、地域の重要な産業でした。しかし、時代の変化とともに衰退し、明治時代になると岩坪の清水清録が鳥取市の紙商である島田豊吉と協力し、福井県から叩解機を導入します。さらに高知県から技術者を招聘し、紙業の再興に努めました。その結果、1893年にはシカゴ万国博覧会に出品し、有功銅章を受賞するという栄誉も得ました。この功績を称えるため、1899年には紀功碑が建立され、村の自尊心を高めました。

行政の変遷

岩坪村は1883年に竹生村外の戸長役場の管轄に置かれ、1889年に町村制の施行により独立した自治体として高草郡岩坪村が発足しました。その後、1896年には気高郡が新設され、岩坪村もこの新しい郡に属することとなります。

さらに1918年には砂見村との合併により神戸村が発足し、これによって岩坪村は廃止され、神戸村の一部として新たな歴史の一歩を踏み出しました。

教育と交通

村内には岩坪尋常小学校が設立され、これが後に鳥取市立神戸小学校の岩坪分校へと繋がっていきます。教育の場として地域の子どもたちに学びの機会を提供してきた歴史があります。

交通面では、1897年に岩坪から賀露間の道路の工事が始まり、1903年には完成を見ました。これにより、地域の交流が一層活発になり、経済発展にも寄与したことでしょう。

結論

岩坪村は、独自の文化や産業を持ちながらも、時代の波に飲み込まれていった村です。しかし、その歴史と文化が今も地域に息づいていることは貴重な資源として大切にされるべきです。

もう一度検索