岩尾俊兵

岩尾俊兵（いわお しゅんぺい）

プロフィール

岩尾俊兵は、1989年4月19日に佐賀県西松浦郡有田町で生まれた日本の経営学者です。慶應義塾大学商学部准教授として教鞭を執る傍ら、企業経営や組織論に関する研究活動に精力的に取り組んでいます。東京大学大学院で経営学の博士号を取得しました。

生い立ちと学歴

岩尾は、江戸時代中期から続く窯元、岩尾磁器工業の創業家という、独特な環境で育ちました。幼少期から論語に親しみ、経営学者たちがフィールドワークに訪れるような環境に身を置いていたことから、小学生の頃にはすでに経営学者になることを志していたと言います。父親も東京大学経済学部で経営学を専攻し、丸紅勤務を経て家業に入り、後に独立するなど、経営と学問が身近な環境で育ちました。

しかし、父親の事業失敗による経済的困窮から、高校進学を断念。陸上自衛隊少年工科学校に入隊し、自衛官となりました。その後、一等陸士で退職し、コンビニエンスストアや工事現場など様々な職を経験しながら学費を貯め、高等学校卒業程度認定試験に合格。慶應義塾大学商学部に入学しました。

大学では会計学のゼミに所属していましたが、父親の葬儀の際に東京大学教授の藤本隆宏氏から大学院進学を勧められ、東京大学大学院経済学研究科に進学。修士課程では経済学を、博士課程では経営学を修め、東京大学で初めて経営学の博士号を取得しました。

研究テーマと業績

岩尾の研究テーマは、日本企業の組織設計やイノベーション創出のメカニズムなど多岐にわたります。特に、自動車産業における改善活動と全社的な組織設計の関係性について、実証的な研究を行っています。

また、近年の著書では、日本型経営の強みと弱みを分析し、グローバル市場で競争力を高めるための提言も行っています。

受賞歴

第36回組織学会高宮賞論文部門
第37回組織学会高宮賞著書部門
第22回日本生産管理学会賞
第73回義塾賞
第4回表現者賞

主な著書

『イノベーションを生む“改善”：自動車工場の改善活動と全社の組織設計』（有斐閣、2019年）
『日本“式”経営の逆襲』（日本経済新聞出版、2021年）
『13歳からの経営の教科書：「ビジネス」と「生き抜く力」を学べる青春物語』（KADOKAWA、2022年）
『日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか：増補改訂版『日本“式”経営の逆襲』』（光文社新書、2023年）
『世界は経営でできている』（講談社現代新書、2024年）

その他

岩尾の指導教授であった藤本隆宏氏は、父親と東京大学のゼミで同期でした。藤本氏は、学生時代に岩尾の実家である岩尾磁器工業の経営戦略と生産管理の実態調査を行ったことがあります。この縁もまた、岩尾が経営学の道に進む上で大きな影響を与えたと考えられます。

メディア出演、寄稿など

岩尾は、研究活動だけでなく、メディアにも積極的に登場し、経営学の知見を広く社会に発信しています。日経テレ東大学などのインタビュー番組や、東洋経済オンライン、ダイヤモンド・オンラインなどのウェブメディアにも記事を寄稿しています。




岩尾俊兵は、波乱万丈な人生経験と卓越した学術的知識を融合させ、現代社会における経営のあり方を深く考察し、その成果を社会に還元し続けている、注目の経営学者です。

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