岩屋寺 (京都市)

岩屋寺：大石内蔵助ゆかりの歴史と文化が息づく寺院

京都市山科区に位置する岩屋寺は、曹洞宗の尼寺です。山号を神遊山と称し、本尊は大聖不動明王。その歴史は古く、寛平9年（897年）に宇多天皇の命により、隣接する山科神社の神宮寺として創建されたと伝えられています。当初は天台宗に属していましたが、後に曹洞宗に改宗しました。

岩屋寺は、赤穂事件で名高い大石内蔵助と深く関わっていることから、大石寺とも呼ばれています。大石内蔵助は、吉良邸討ち入り後、この寺の境内に邸宅を構え、潜伏生活を送ったと伝えられています。その隠棲生活の痕跡は、現在も寺内に残されています。

境内：歴史的建造物と遺品の数々

岩屋寺の境内には、歴史を感じさせる建造物や、大石内蔵助ゆかりの貴重な遺品が数多く残されています。

本堂: 文久年間（1861年～1864年）に再建されました。本尊の大聖不動明王像の周囲には、赤穂四十七士の位牌が安置され、荘厳な雰囲気を醸し出しています。大聖不動明王像は秘仏であり、円珍（智証大師）作と伝えられており、内蔵助の念持仏であったともいわれています。
宝物殿: 大石内蔵助が使用したとされる文机や鍵付き貴重品箱、槍、茶道具など、貴重な遺品が保管・展示されています。これらの遺品を通して、内蔵助の生活や人物像を垣間見ることができます。
毘沙門堂: 毘沙門天像のほか、赤穂四十七士の像が安置されています。これらの木像は、内蔵助が生前に四十七士の似顔絵を描かせ、後に寺坂吉右衛門がそれを元に制作したと伝えられています。
茶室「可笑庵」: 大石内蔵助の邸宅の古材を用いて建てられた茶室です。静寂な空間で、歴史に思いを馳せることができるでしょう。
大石内蔵助手植えの紅梅: 内蔵助が植えたと伝えられる紅梅は、春の訪れを告げる美しい花を咲かせます。
大石弁財天社、池、山門、大石稲荷社、地蔵堂、忠誠堂（納骨堂）、大石良雄遺髪塚、十三重石塔: これらの建造物や塚は、岩屋寺の歴史と、大石内蔵助とその家臣たちの霊を静かに見守っています。十三重石塔の横には、1901年（明治34年）に建てられた大石良雄君隠棲址碑があります。

近畿三十六不動尊霊場

岩屋寺は、近畿三十六不動尊霊場の第24番札所にも指定されており、霊場巡りの拠点としても知られています。

まとめ

岩屋寺は、歴史と文化に触れられる貴重な場所です。大石内蔵助ゆかりの寺としてだけでなく、美しい自然と静寂な空間の中で、歴史に思いを馳せることができる、心癒される寺院と言えるでしょう。

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